



皮下点滴の頻度と、1回量の計算方法
皮下点滴で補充する量は、脱水(不足)している水分量です
脱水しているかどうかの判断は、👇こちらを参考になさって下さい
輸液量の計算(脱水は何%?)
輸液量(=水分の不足量)の判断は、下のような考え方があります
「在宅で皮下点滴をしましょう」という状態は、5~10%の脱水と考えられます
脱水量(%) | 身体検査所見 |
5%以下 | 嘔吐や下痢の病歴があっても、 身体検査では異常なし |
5 | 口腔粘膜の軽度の乾燥 |
6~8 | 皮膚のつまみ持続時間が2~3秒、口腔粘膜の乾燥、眼球のわずかな陥没 |
8~10 | 皮膚のつまみ持続時間が6~10秒 |
10~12 | 皮膚のつまみ持続時間が20~45秒、口腔粘膜の乾燥、 眼球の明らかな陥没、中程度から高度の沈うつ 不随意的な筋の攣縮 |
12~15 | 明らかなショック状態 |
軽度な脱水、5%で計算すると…
体重3kgの猫さんの場合
▶ 5%脱水の場合、体液の不足量は、3000x0.05=150ml
▶ 脱水が緩和されたと感じたら、脱水3%で計算して、3000x0.03=90ml
▶ 脱水が悪化したら、脱水が8%で計算して、3000x0.08=240ml
ポイントは、『脱水の緩和=水分の補給』という点です。
1回の輸液量は?どれくらい?
皮下点滴は、身体全体の循環状態(血の巡り)が効果に影響します
脱水具合が強いと、補充する輸液量も多くしたいですが、脱水の程度がひどい子ほど、その輸液を吸収する能力が落ちています
- 脱水がひどい子ほど輸液量は必要⇒ただし、1回の量は減らした方が身体の負担は軽減
- 混和された薬剤も、1回の輸液量が少ない方が早く吸収される
- 1回の輸液量は150ml以下で負担なく行う⇒1日に200ml必要なら、100mlx2回に分ける
1回の量にこだわる理由・・・

点滴液は何時間くらいで吸収されるの?

1回の点滴量が100mL程度なら、3~6時間ほどで吸収されます
12時間経っても前回の点滴液が残っている場合は、輸液量が多すぎるか、血流の循環を悪化させる別の原因があるかも

皮下点滴は毎日やらないと意味がないの?

皮下点滴が必要かどうかは、脱水しているかどうか?なので、1回の皮下点滴で、数日間必要ない子もいるよ
便秘していませんか?
高齢ネコさんでは、便秘の相談が多い傾向があります
腎臓病から便秘している子は、痩せていて、フケっぽく、毛づやが悪いといった特徴があります
根本的な原因は、「脱水」の場合が多いです

便秘の予防、改善にも十分な水分補給がおすすめ

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参考文献
慢性腎疾患における皮下輸液
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/22/1/22_7/_article/-char/ja/
長江 秀之, 織間 博光
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