ポイント
自宅での経過観察で、気をつけておきたいのが『呼吸数』です。
呼吸数の増加は、肺水腫(過剰量の点滴)や痛みのサインです。
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呼吸数を数えてみよう
『吸って・はいて』で1回です。
1分間で何回呼吸をしたか数えます。
30秒で何回呼吸したか数えて2倍するか、
20秒で何回呼吸したかを数えて3倍します。
呼吸数は何回でしたか?
1分間当たりの呼吸数
30秒で15~16回呼吸をしていますので、
1分間当たり、30~32回です。
基準値は1分間に何回?
- 20回以下→肺水腫の可能性は低い。痛みはなくリラックスしている。
- 20~40回→グレーゾーン
- 40回以上→注意が必要。何らかの苦痛を感じている可能性あり。
地味だけど大事な検査
呼吸数の測定は、体温や心拍数と同様、大事な検査です。
病気を患っている子では、"安静時"の呼吸数が重要です。
慢性腎臓病など、自宅で皮下点滴をされているお家では、
肺水腫(過剰な点滴)になっていないか…
呼吸数も気にしてあげて下さい。
参考文献
Sleeping and resting respiratory rates in healthy adult cats and cats with subclinical heart disease
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24170428/
この文献は、健康な成猫と潜在的な心臓病を持つ猫の呼吸数について研究したものです。
研究の目的は、猫の呼吸数の基準値を確立することでした。
飼い主は、猫の睡眠時及び休息時の呼吸数を自宅で8~10回にわたって測定しました。
心エコーで正常と判断された猫や健康と思われる猫の平均睡眠時呼吸数(SRRmean)は1分あたり30回以下で、中央値は約21回でした。
一方で、重度の左心房拡大を持つ猫の中には、30回を超える場合もあり、他の猫と比べて高い傾向が見られました。
Respiratory rate of clinically healthy cats measured in veterinary consultation rooms
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29680402/
この文献は、獣医師の診察室で測定された健康な成猫の呼吸数についての研究です。
研究の目的は、診察室内における健康な成猫の呼吸数の基準区間を確立することでした。
研究では、6つの施設、131匹の猫の呼吸数を、以下の4つの状況下で測定しました:
- ▶ 研究者が診察室で身体検査前に観察した場合
- ▶ 研究者が身体検査中に観察した場合
- ▶ 飼い主が自宅で猫が休息中または睡眠中に測定した場合
- ▶ 研究者が飼い主が自宅で撮影した猫のビデオを見て測定した場合
88匹の健康な成猫の診察室での呼吸数の基準範囲は32~135回/分でした。
ビデオ記録に基づいて、同じ猫の休息時の呼吸数は中央値27回/分(範囲16~60回/分)、睡眠時の呼吸数は中央値20回/分(範囲9~28回/分)で、診察室で記録された呼吸数よりも低かった。
この研究により、呼吸数を獣医師が診察室で計測するのは不適切で、多くの猫が誤って頻呼吸(tachypnea)と診断される可能性を示唆します。
自宅での休息時や睡眠時の呼吸数には変動が少なく、飼い主は診療所を訪れる前にペットを撮影することが奨励されます。