ポイント
ソルラクトなどのベースになる液体に、様々な薬剤を混和してお渡しする場合もよくあります。
ビタミン剤、抗生物質、ステロイド系抗炎症剤、H2ブロッカー、吐き気止め、下痢止め、止血剤・・・
なお、皮下点滴では"栄養"の補給はできません。
水分・電解質の補給が目的で行われます。
処方(混和)する可能性のある薬剤の一例をご紹介します。
ビタミンB群
ビタミンB1 (チアミン) | 炭水化物からエネルギーを作る。 神経の機能にはたらく。 |
ビタミンB2 (リボフラビン) | 炭水化物、タンパク質、 脂質からエネルギーを作る。 抗酸化作用。 |
ナイアシン | 炭水化物,、タンパク質、脂質からエネルギーを作る。 |
ビタミンB6 | タンパク質の分解と再合成を助ける。 神経伝達情報や造血(ヘモグロビンの合成)を助ける。 |
ビタミンB12 (コバラミン) | DNAの合成を助ける。 |
葉酸 | DNAの合成を助ける。造血を助ける。 |
パントテン酸 | 炭水化物、タンパク質、脂質からエネルギーを作る。 ホルモンの合成、HDL(善玉)コレステロールの合成を助ける。 |
ビオチン | 炭水化物、タンパク質、脂質からエネルギーを作り出す。 皮膚の炎症を起こす物質の排泄を助ける。 |
ビタミンB群は、水溶性のビタミンで、尿から排泄されるため、過剰症の心配はありません。
造血を助ける物質でもあるので、貧血予防のために混和されることもあります。
猫はチアミン(ビタミンB1)の要求量が多いので、食べる量が落ちている場合には、積極的に補給します。
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ビタミン剤は、皮下に注射をすると痛がる子が多いです。
口から摂取可能であれば、サプリメントで補うこともお奨めです。
H2ブロッカー
尿毒素から生じる胃潰瘍の治療にはH2ブロッカー、注射用のファモチジン(商品名でガスター)がよく用いられます。
経口投与(飲み薬)が難しい場合、点滴に混和する場合があります。
H2ブロッカーは、腎臓病の猫さんに使用する場合には、薬用量の調節が必要です。
市販の飲み薬、ガスターは使用しないでください。
抗生物質
抗生物質の予防的投与には、賛否両論あります。
また、腎機能が落ちている猫さんに抗生物質を使用する場合には、投与量の調節(減量)が必要な場合が多いです。
在宅の皮下点滴の場合、注射部位の感染を心配されると思います。
そのために抗生物質を混和する場合もあります。
ただ、膿瘍(のうよう)を作るような感染は非常に稀です。
※FIV(猫エイズウイルス)陽性の猫さんなど、免疫機能に問題のある猫の場合には、注意が必要です。
ステロイド系抗炎症薬
抗生物質と同様に、賛否両論があるのがステロイド系の抗炎症薬です。
抗炎症薬は文字通り、炎症を抑えるお薬です。
炎症があると・・・
発熱(熱を持つ)・発赤(赤くなる)・腫脹(腫れる)・疼痛(痛み)といった徴候が見られ、抗炎症薬は、そういった徴候を改善します。
長期使用による副作用に注意して使用しますが、使うときにはしっかり使うという類のお薬です。
点滴液に混和する際には、水溶性プレドニゾロンというお薬を使用します。
下痢止め・制吐剤・止血剤
下痢をしているとき、嘔吐が続くとき、血尿があるとき、症状に応じて、経口薬が難しい場合など、皮下点滴液に、注射薬を混和する場合があります。
※あくまで対症療法なので、症状が続く場合は、精査することが必要です。
栄養は入れられるの?
皮下点滴では栄養は入れることができません。
皮下点滴の目的は水分と電解質の補給です。
身体を作る素になる「タンパク質」「脂肪」「炭水化物」といった栄養素は混和できません。
むしろ、皮下に栄養素を埋め込むと、身体に吸収されず、腐敗して膿瘍(膿み)になってしまいます。
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