皮下点滴

【黄色い?透明?】皮下点滴液に混和する可能性のある薬剤は?

2021年7月20日

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ポイント

在宅で行う皮下点滴の場合、ソルラクトなどのベースになる液体に、様々な薬剤を混和してお渡しする場合もよくあります。

ビタミン剤、抗生物質、ステロイド系抗炎症剤、H2ブロッカー、吐き気止め、下痢止め、止血剤・・・

なお、皮下点滴では"栄養"の補給はできません水分・電解質の補給が目的で行われます。

処方(混和)する可能性のある薬剤の一例をご紹介します。

 

 

ビタミンB群

 

ビタミンB1    
(チアミン)
炭水化物からエネルギーを作る。神経の機能にはたらく。
ビタミンB2     
(リボフラビン)
炭水化物、タンパク質、 脂質からエネルギーを作る。抗酸化作用。
ナイアシン炭水化物,、タンパク質、脂質からエネルギーを作る。
ビタミンB6タンパク質の分解と再合成を助ける。
神経伝達情報や造血(ヘモグロビンの合成)を助ける。
ビタミンB12
(コバラミン)
DNAの合成を助ける。
葉酸DNAの合成を助ける。造血を助ける。
パントテン酸炭水化物、タンパク質、脂質からエネルギーを作る。
ホルモンの合成、HDL(善玉)コレステロールの合成を助ける。
ビオチン炭水化物、タンパク質、脂質からエネルギーを作り出す。
皮膚の炎症を起こす物質の排泄を助ける。
主なビタミンB群物質

 

ビタミンB群は、水溶性のビタミンで、過剰に摂取しても尿から排泄されるため、過剰症の副作用はありません。

造血を助ける物質でもあるので、貧血予防のために混和されることも多いです。

また、猫はチアミン(ビタミンB1)の要求量が多いので、食べる量が落ちている場合には、積極的に補給します。

混和されていた場合は、点滴液は黄色です。ビタミンB12は鮮やかな赤色。

※黄色ならビタミン剤という訳ではありません。

 

ペットチニック 30mL

ビタミン剤は、皮下に注射をすると痛がる子が多いので、口から摂取可能であれば、サプリメントで補うこともお奨めです。

 

H2ブロッカー

 

尿毒素から生じる胃潰瘍の治療にはH2ブロッカー、注射用のファモチジン(商品名でガスター)がよく用いられます。

経口投与(飲み薬)が難しい場合、点滴に混和する場合があります。

混和されていた場合、無色透明です。

H2ブロッカーは、腎臓病の猫さんに使用する場合には、薬用量の調節が必要です。

市販の飲み薬、ガスターは使用しないでください。

 

抗生物質

抗生物質の予防的投与には、賛否両論あります。

また、腎機能が落ちている猫さんに抗生物質を使用する場合には、投与量の調節(減量)が必要な場合が多いです。

 

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在宅の皮下点滴の場合、注射部位の感染を心配されると思います。

そのために抗生物質を混和する場合もあります。

ただ、膿瘍(のうよう)を作るような感染は非常に稀です。

 

※FIV(猫エイズウイルス)陽性の猫さんなど、免疫機能に問題のある猫の場合には、注意が必要です。

混和時の点滴は、無色透明です。

 

ステロイド系抗炎症薬

抗生物質と同様に、賛否両論があるのがステロイド系の抗炎症薬です。

抗炎症薬は文字通り、炎症を抑えるお薬です。

 

炎症があると・・・

発熱(熱を持つ)・発赤(赤くなる)・腫脹(腫れる)・疼痛(痛み)といった徴候が見られ、抗炎症薬は、そういった徴候を改善します。

内臓が傷んでいるときには、脳、腎、肝、腸、肺、口内・・・と、炎症が起きていることがほとんど。

ステロイド剤は炎症をとてもよく抑えてくれます。

 

長期使用による副作用に注意して使用しますが、使うときにはしっかり使うという類のお薬です。

点滴液に混和する際には、水溶性プレドニゾロンというお薬を使用します。

点滴液は無色透明です。

※懸濁性のプレドニゾロンの場合、白い粉末が沈殿します。

 

下痢止め・制吐剤・止血剤

下痢をしているとき、嘔吐が続くとき、血尿があるとき、症状に応じて、経口薬が難しい場合など、皮下点滴液に、注射薬を混和する場合があります。

 

あくまで対症療法なので、症状が続く場合は、精査することが必要です。

 

栄養は入れられるの?

点滴の目的は水分と電解質の補給

 

皮下点滴では栄養は入れることができません

皮下点滴の目的は水分と電解質の補給です。

身体を作る素になるタンパク質」「脂肪」「炭水化物」といった栄養素は混和できません。

むしろ、皮下に栄養素を埋め込むと、身体に吸収されず、腐敗して膿瘍(膿み)になってしまいます。

 

 

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