広告 尿検査 病気とのお付き合い

【猫の尿検査ガイド】見かた、取り方、持って行き方。~獣医師執筆~

2023年2月1日

 

 

  • 尿結石、慢性腎臓病、糖尿病…おしっこと猫さんの健康は関わりが強いです
  • 血液検査に比べ、痛みや苦痛が少ない検査なので、もっと活用してほしいです
  • 最近では、多機能トイレも充実しているので、お家での観察も可能です
  • 同時に、動物病院もうまく活用してください

 

尿検査はどのくらい間隔だと安心?

血液検査やレントゲンよりも、費用や身体への負担・ストレスが軽い検査です。

一般的に推奨されている健康診断の頻度よりも、繰り返し行ってあげたい検査です。

 

尿検査はどのくらい間隔だと安心?

  • ~7歳 年に1~2回
  • 7歳~ 年に2~3回以上
  • 年齢にかかわらず 病歴があれば2か月に1回
  • 病気の治療中の場合は月に数回

 

【軽視され過ぎ…】尿検査はなぜ大事なのか?

もともと、尿は腎臓を通過した血液から作られます

尿を調べると、血液検査では判らないことが見えてくる場合があります

 

どちらの方が良いという優劣ではなく、血液検査と尿検査、

組み合わせて結果を解釈すると、より高品質な検査結果が手に入ります。

例えば、BUNやクレアチニンよりも早く、慢性腎臓病を疑う事ができる場合があります。(※1)

※1:International Renal Interest Society,IRIS Staging Posters Cat,2013

 

【コスパ大】尿検査の費用はどのくらい?

尿検査には、次のようなものがあります。

  • ペーパー試験紙を使った検査
  • 尿を遠心分離して沈渣(ちんさ)物を顕微鏡で観察する検査
  • 尿の濃さ(比重)を測る検査
  • 検査センターで測定するような外注検査

費用については各動物病院の設定がありますが、血液検査の1/3~1/2くらいに設定されていると思います。

 

【やってみよう】お家での採尿方法~猫の尿検査~

尿検査には、液体の状態での尿が必要です。

動物病院で「おしっこを持って来てください」と言われても、

どうやって?何に入れて?といったわからない事だらけで、困ってしまいませんか?

猫の負担が少ない、コスパ最強の検査なので、飼い主さんには、採尿のコツをつかんでいただきたいです。

 

おたまを使う方法 ~追いかけ過ぎず、さりげなく~

100円ショップなどで、おたまを買ってきて使う方法。

注意点は、追いかけ過ぎず、さりげなく差し込みましょう。

邪魔されたり、ストレスを感じると排尿を我慢してしまい、膀胱炎の原因にもなります

 

特に、下部尿路疾患(尿石症や膀胱炎)のフードを切り替える際には、

尿検査をしながら再発がない事を確認できると安心です。

 

ウロキャッチャー ~衛生的な採尿キット~

おたまの時と同様に、あまり追いかけ過ぎず、滑り込ませるように使ってください。 

津川洋行 ウロキャッチャー

100本単位の場合もありますが、バラ売りで手に入れる事も可能です。

在庫があるか、動物病院にお尋ねいただくのも良いと思います。

 

システムトイレ ~チップは交換してから~

我が家は、この方法でした。

花王のニャンとも清潔トイレを使用していました。

ユニ・チャームや、アイリスオーヤマなどからも、様々なタイプののシステムトイレが発売されています。

下のトレーに尿が落ちますので、ペットシーツをひっくり返すか、サランラップを敷いておく方法でも可です。

注意点は、新しいチップに交換してから採尿すること。

尿がチップ通過しても検査結果に大きな影響はありません

  

動物病院へ尿を持っていくときの注意・疑問点

必要な量は?

検査項目数にもよりますが、5~10cc程度(ペットボトルの蓋1杯前後)の量があれば十分です。

ペットボトルのキャップ1杯は約7.5cc

 

【前日の尿は不可?】何時間以内ならOK?

獣医学の教科書などには採取後4時間以内という記載があります。

時間経過は少ないに越したことはありませんが、

医療現場の実際の経験上は、丸1日程度の時間経過は問題ありません。

 

【冷蔵?常温?】保存方法は?

検査の目的(理由)によって変わります。
 
尿石症の結晶成分を見る事が目的なら、冷蔵しない方が良いです。
細菌感染の有無、pHやタンパクなど…尿の性質を検査する場合は冷蔵した方が良いです。

 

【何を調べてるの?】尿検査の項目

試験紙

 

pH

pH値は、酸性・アルカリ性の指標です。

pH7が中性、数字が大きい(8~9)とアルカリ性、数字が小さい(5~6)と酸性です。

pHは1日の中で変化しています。いくつが良いという指標はありませんが、

尿がアルカリ性の状態が続くと、ストラバイト結晶(尿石症)が起こりやすくなります。

市販の試験紙を使って、お家で猫の尿pHチェックすることも可能です

 

潜血

尿の中に血液が混ざっているかどうかを検査します。

腎臓や膀胱からの出血を検出します。

尿の潜血は、見た目では判断できない事もあるので、試験紙による検査が役立ちます

👇1~3、どれが血尿か…見た目ではわかりますか??

 

正解は・・・

「2」番と、「3」番が血尿でした。

 

尿中タンパク

腎臓病で腎臓のフィルターの網目が粗くなってくると、尿の中にタンパク質が漏れ出してきます。

タンパク尿が出るタイプの腎臓病は、猫では経過が良くない事が多いので、注意が必要です。

 

尿糖

糖尿病の際に尿に糖が混ざります。腎臓病と糖尿病が併発している場合もあります

尿に糖が混ざった場合、尿比重が高めになります。

 

沈渣物

底に沈んだものを顕微鏡で観察します

 

尿の中の不純物を遠心分離して、顕微鏡で観察します。

尿結石になる手前の結晶を見つける事も有ります。

ストラバイトの結晶

 

お家でもできるチェック項目は次の3つです。

  • 体重の変化(増・減)
  • 尿量の変化(増・減)
  • 排尿回数の変化(増・減)

 

尿比重

尿の濃さ・重さを測ります。

慢性腎臓病を早期に発見できる場合があります。(※2)

※2:International Renal Interest Society,IRIS Staging Posters Cat,2013

尿糖や、タンパク尿の場合、尿本来の比重値よりも高めに出る場合があります。

 

尿比重計:尿比重(尿の濃さ)を測る機械

尿比重の目安・・・1.000が真水です。

腎機能がしっかりある場合には、1.035以上

慢性腎臓病の後期には、1.008~1.012の数値になります。

注意点は、1回の検査だけで判断しない事。採尿タイミング(日にち)を変えて、少なくとも3回は尿検査をします。

 

左:しっかりした濃さの尿 右:腎機能が落ちて薄くなった尿

 

外注検査

タンパク尿の検出の際、試験紙で疑わしい結果だった場合には、尿蛋白クレアチニン比(UPC)という指標を測定します。

検査センターに外注することが多く、数日以内に結果が届きます。

0.2以下の数値であれば、病的なタンパク尿は否定できます。

0.4以上はタンパク尿と判断0.2~0.4はグレーゾーンで再検査が必要です。

尿中のタンパク量を数値で確認します。

 

【飼い主さんにもわかるかも】取れた時点で観察してみよう

尿を容器に移したら、尿の色、透明度などを眺めてみると良いです。

"気にしておく"という意識は、素晴らしいと思います。

色・透明度・臭い

数字にはできない観察点ですが、黄色具合、透明度、濁っていないか、独特の異臭がしないか?などを観察してみて下さい。

 

キラキラした尿って??

尿結石・結晶がある場合、「尿がキラキラしている」と、よく言われますが、

ずらお@nya0_nさんからシェア

普段から気にしていないと、なかなか気づきにくいと思います。

 

尿検査と関係が深い他の観察点

特に慢性腎臓病を気にして尿検査を行う場合には、

他にも気にしておいてほしい"普段の数字"が、もう2つあります。

 

体重

いつもの体重を知っておくことは重要で、

病院を受診された場合も、1ヶ月で300g減ったとか、2年で2kg減ったなど、

変化が分かるととても役立ちます。

体重測定は、立派な健康診断の一つです。

 

飲水量

慢性腎臓病の初期症状、「多飲・多尿」。

飲水量を数字で把握しておくと、なんとなく増えた?場合の"なんとなく"を判断することができます。

私は、慢性腎臓病のケア、長生きには"身体を脱水させない事に尽きる"と、考えます。

皮下点滴が必要になる場合も多々ありますが、積極的な飲水量の維持を心がけてあげたいです。

 

-尿検査, 病気とのお付き合い