要約
慢性腎臓病のステージが上がり、尿毒症がきつくなると、嘔吐の回数が増えたり、食欲低下がみられます。
腎臓病用の療法食を受け付けなくなった時、「食べない療法食よりも、食べることを優先」するため、「お刺身でも、ちゅーるでも、食べるものなら何でも良いのであげて下さい」という局面にも…。
「なんでもいい」というのは、逆に困ってしまうかもしれませんが、昔好きだったものを出してみたり、市販の流動食も充実しています。今まで全く食べたことが無いものに興味を持つ子もいます。
状態が思わしくない場合には、完全な療法食にこだわる必要はないと個人的には感じますが、吸着剤を使ったリンの摂取制限と必須アミノ酸の補給は、可能な限り行った方が良いと思います。
栄養素のサポートが必要
動物の場合、点滴では必要な栄養素は十分補えません。
栄養素のサポートは、食べてもらう事にこだわります。
※点滴をきっかけに食欲が出る場合がありますので、点滴に意味がない訳ではありません。
「何でもいい」は正直困る…。
「食べるものなら何でもいいですよ」という状況になった際、逆に、「何がいいですか?」と、よく聞かれます。
ずっと、「『療法食が良いです』と言われて食べさせてきたのに…」というお気持ちも、よくわかります。
病気のケア、栄養素・カロリーの摂取という目的と同時に、「美味しそうに食べている姿が見たい」という目的も強いものです。
いわゆる"ペットフード"にこだわらなくても、お刺身や、ゆで肉・・・極端な例では、プリン、アイスクリームでも"食べるきっかけづくりには"良いと思います。
ペットライン社のメルミルシリーズは味のバリエーションも豊富です。
なめらかトロトロな状態にしてあるので、自力で食べる意志を邪魔しません。
強制給餌はちょっと・・・と感じる飼い主さんには、まず試してみてほしい製品です。
アイシア健康缶 なめて食べられるシリーズは総合栄養食ではありませんが、リンやナトリウムの含有量に対して配慮されているフードです。
食欲を取り戻すきっかけづくりには、最適なフードだと思います。
必須アミノ酸をしっかり摂ってほしい
たとえば、必須アミノ酸の「スレオニン」
あまり聞き慣れないマイナーな栄養素ですが、
細胞の新陳代謝に必要なアミノ酸です。
胃酸の分泌を調整する働きもあるので、不足すると食欲不振(拒食)が生じます。
口から栄養を摂取させたい時に、スレオニンの補給も同時にできると良いですね。
【そのほか上記画像中のフード】
【左上から・・・】
コンボプレゼント 腎臓の健康維持 ドライ系おやつ
ZIWI キャット缶 グラスフェッドビーフ 85g 食べたことが無いものに興味を持つ子に…
ピュリナ ワン パウチ 健康寿命ケア 7歳以上 完全なトロトロを嫌がる場合、ある程度フレークが残存
アイシア 健康缶パウチ 腎活 健康缶パウチの総合栄養食タイプ
for AIM ちゅ~る 腎臓の健康維持に配慮 アミノ酸S18 ちゅ~るタイプを混ぜるちゅ~る
AIM30カリッとトリーツ 流動食を完全拒否する場合、意外にカリカリ系を好む場合も…
ちゅ~るごはん 総合栄養食 総合栄養食タイプのちゅ~る。食欲を促すきっかけに
ちゅーる 腎臓の健康維持に配慮 リンとナトリウムを調整したちゅ~る
リンの摂取が増えるジレンマ
病気をケアする際の栄養(足し算?引き算?)
健康な時のキャットフードの選び方は・・・
「総合栄養食を与えてください」というお話がメインになると思います。
でも、慢性腎臓病を患っている猫の場合は、
体力・筋肉などを維持するために必要な栄養素を考慮したり、
オメガ脂肪酸などの栄養素を添加したり(足し算)
リン・ナトリウムを制限したり(引き算)
といった、その子・その子に合わせた調節が必要です。
リンの吸着剤を使う理由
体内(特に血液中)のリンが過剰になると、リンはカルシウムと結合して、
身体の色々な部分に、水垢のように張り付きます(石灰化といいます)
腎臓は血流量の多い臓器で、そもそもフィルターのような役目をしてるため、
石灰化が起こりやすく、腎臓病を悪化させる原因となります。
慢性腎臓病のステージが同じ猫さんでも、血液中のリンの濃度が高い場合、
悪化のスピードが早く、ステージが進んでしまいます。
食べる事を優先する場合は、リンの吸着剤を利用する事で、
体内に吸収されるリンを抑える事が可能です。
吸着剤については、
の記事も参考にして下さい。
猫の食欲不振は放置できない・・・
リンの吸着剤を使ってまで食べる事にこだわる理由は
猫は、食事を摂らない時間が長くなると、
すぐに肝臓のエネルギーの蓄えを壊して補填しやすい仕組みがあるためです。
食べ物を食べていないのに、身体はエネルギーが足りているという錯覚を起こし、
余計食べなくなる。肝臓を壊す・・・という悪循環が続きます。
この循環を止めるためには、口から食べ物(栄養)を摂る事しか方法がありません。
口から栄養が入るようになると、身体は肝臓を壊すことを止めてくれますし、
胃や腸などの消化管が動き始めると、
それが食欲が回復するきっかけにもなります。
「何でもいいから食べさせてあげて下さい」という理由です。
筋肉の退縮を防ぐ
フレイルという単語を耳にしたことはありませんか?
一昔前は、慢性腎臓病になったら「タンパク質の制限」が食事療法の軸になる考え方でしたが、
身体の血や肉を作る”タンパク質”の過度な制限は、筋肉量の減少や免疫力の低下を助長させてしまい、
病気の進行を加速させる恐れがあります。
もともとエネアラは、ドロドロ血やぽっちゃりの子で、体重の調節をお奨めする際の燃焼系サプリです。
脂肪燃焼⇒筋肉がつく、という好循環を生み出すのでは?と、注目されています。