概要まとめ
1.タンパク(±)という結果はあまり気にしなくて良い
理由は、腎臓病以外の理由で、
微量のタンパク質が尿に混ざっている場合が多いからです。

猫の尿にタンパク質が混ざる場合、3つの理由があります。
- 腎前性タンパク尿・・・食べ物として摂取された大量のタンパク質や血液成分が、尿の中に漏れる。腎臓病とは無関係の場合が多い。
- 腎性タンパク尿・・・身体を作るためのタンパク質が尿に漏れ出す。(病的なタンパク尿)
- 腎後性タンパク尿・・・膀胱や尿道に炎症があって血液などのタンパク質が尿に混ざる。(腎臓病以外の病気)
補足ポイント
必須アミノ酸のうち、特にアルギニンは、尿毒症の原因となるアンモニアを尿素に変化させる(肝臓の仕事)際に必要で、
アルギニンが不足するとアンモニアから尿素を合成できず、高アンモニア血症を起こし危険な状態になる場合があります。
老廃物を代謝・分解するためには、必須アミノ酸の補給が必要です。
アミノ酸は皮下点滴に混和できないので、口から摂取する必要があります。
- アルギニンは、アミノ酸の一種であり、猫にとって必要不可欠な栄養素の一つです。腎臓や免疫系、神経系の健康を維持するのに重要な役割を果たしています。
- 慢性腎臓病を抱える猫の場合、腎臓の機能が低下しているため、アルギニンの代謝が低下してしまい、血液中のアルギニン濃度が低くなることがあります。
- アルギニンの補充は、猫の免疫力や体内の老廃物を排出する機能をサポートします
- アルギニンは、猫の筋肉量を増やす助けになります。

2.タンパク(++)という結果はすごく気にしてほしい
人間では、タンパク尿が出るタイプの腎臓病が多く、
足がむくんだり、水分が身体に溜まるような症状が出ます。
猫では、タンパク尿が出るタイプの腎臓病は比較的少ないのですが、
タンパク尿が出ている場合には、状況を深刻に考える必要があります。
タンパク尿かどうかの判断

尿検査試験紙でタンパク尿が疑われた場合には、
UPC(尿蛋白クレアチニン比)という検査を行います。
※尿検査です。多くは外注検査になります。
UPCが0.2~0.4は病的なタンパク尿を疑い、0.4以上は深刻なタンパク尿と考えます。
3.尿検査を大切にする理由
猫の腎臓病を毎日のように診察している獣医師ほど・・・
BUN、Creといった血液検査項目と同じくらい(もしくはそれ以上に)
尿検査や、体重の変化といった数字を重視します。
尿検査のメリットは・・・
- 痛くない検査
- 費用が安価
- クレアチニンよりも早期の腎臓病のサインになる
といった点があります。
尿比重

腎機能が低下したネコさんは、尿の濃さがが薄くなります。
でも、体の老廃物は出したいので、尿の回数が増えます。
排尿の回数が増えると、喉が渇くのでたくさんお水を飲むようになり、
「多飲・多尿」となります。

薄い尿の比重は「1.013」でした。
1回の測定で判断するのではなく、日を変えて何度測っても1.025以下というのは、何らかの異常があると考えます。