概要
身体を作る栄養素の中には、食べ物から補う必要がある"必須アミノ酸"があります。
猫は10種類が必須アミノ酸です。
身体でどのような働きをしているか、不足するとどんな影響が出るか、要点だけ簡単にまとめました。
【参考論文サイト】https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Cats+Essential+amino+acids
1.アルギニン
アルギニンは、尿毒症の原因となるアンモニアを尿素に変化させる(肝臓の仕事)際に必要です。
特に猫では、アルギニンが不足するとアンモニアから尿素を合成できず、高アンモニア血症を起こして危険な状態になる場合があります。
- アルギニンは、アミノ酸の一種であり、猫にとって必要不可欠な栄養素の一つです。腎臓や免疫系、神経系の健康を維持するのに重要な役割を果たしています。
- 慢性腎臓病を抱える猫の場合、腎臓の機能が低下しているため、アルギニンの代謝が低下してしまい、血液中のアルギニン濃度が低くなることがあります。
- アルギニンの補充は、猫の免疫力や体内の老廃物を排出する機能をサポートします
- アルギニンは、猫の筋肉量の維持をサポートします。
【参考文献】https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7315956/
2.リジン
アミノ酸同士は、つながってタンパク質の材料になります。
リジンは全てのタンパク質の合成の際に必要になるので、不足すると身体のパーツ1つ1つを作ることができなくなります。(成長不良、傷口の治りが悪くなる…など)
ヘルペスウイルスの増殖を抑える効果については、議論が分かれています。
3.メチオニン
主に被毛や爪を作る材料として必要なアミノ酸です。
皮膚は最大面積の臓器とも言われ、被毛は体を守るバリアとして重要です。
不足すると、被毛が弱くパサつき、抜け毛が増える要因になり、皮膚を守る働きを妨げてしまいます。
メチオニンは、体内で利用されると酸性に変化するので、尿石症(ストラバイト)ケアのサプリとしても利用されます。
4.スレオニン
細胞の生まれ変わり(新陳代謝)の際に必要なアミノ酸です。
胃酸の分泌を調整する働きがあるので、不足すると食欲不振(拒食)が生じます。
肝リピドーシスなど、何か口から摂取させないといけない場合に、スレオニンの補給が同時にできるとケアに役立ちます。
5.トリプトファン
セロトニンという神経伝達物質の材料で、脳や神経の動きに関わるアミノ酸です。ストレス軽減系のサプリ・フードに添加される場合もあります。
不足すると、脳・神経系の障害を引き起こします。
6.ヒスチジン
ビタミンB群と協力して皮膚や粘膜の修復に関わります。セラミドなど体の表面のバリア機能に関わるアミノ酸です。
長期的な欠乏症として、猫では白内障が挙げられます。
7.バリン・ロイシン・イソロイシン(BCAA)
この3つは、BCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれ、セットで考えられることが多いです。
タンパク質の合成を促進することで、肝臓の働きをサポートします。
エネルギー源として使われやすいアミノ酸なので、栄養が足りない時に、エネルギーを作るために筋肉を分解することを遅らせることができます。
8.フェニルアラニン
甲状腺ホルモンの材料となります。
フェニルアラニンから作られたチロシンは、ドーパミンやアドレナリンの材料で、脳・神経の働きに関わります。
不足すると、脳・神経系の障害を引き起こします。また、毛や瞳の色素にもチロシンが関わっています。