病気とのお付き合い

高齢猫が耳を痒がっていたら、腎臓病の初期サインの可能性も

 

  • 皮膚が赤くなるほどじゃないけど、最近よく耳を掻いてる気がする
  • 耳垢が溜まっている訳じゃないんだけど
  • 様子見てたら自然に治るかな?

 

今まで外耳道炎などの既往歴がないのに、高齢になってから急に耳をかゆがるネコさんがいます。

ウチのキャンちゃんも、耳の外側の毛がこすれて薄くなっていました。

耳道内の炎症がないか?感染はないか?など一通りの観察をして、特徴的な原因がない場合、内臓のトラブルから生じるかゆみでは?と感じることがあります。

 

慢性腎臓病によって耳のかゆみが起こる理由は?
腎機能の低下によって、身体の中に老廃物が溜まってしまいます。

皮膚のかゆみを感じ取るセンサーが、溜まった老廃物を感じ取って違和感を感じるという説(※1)があります。

(※1) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=itchy+ckd+receptor

 

人の腎臓病の患者さんでは、皮膚のかゆみを感じられる方は非常に多く、生活の質に影響します。

皮膚は内臓の鏡、とも言われます。

なかなか治らない皮膚病は、内臓疾患を伴うような厄介な病気も隠れているかも・・・と、頭の片隅に常に入れて診察しています。

外耳道炎の場合によく使われる、抗菌剤と抗炎症剤などの薬剤の中には、腎毒性のある薬物もあり、腎臓病を抱えているネコさんには使用を控えるか、量を減らすべきものもあります。

状態の正確な把握が、治療の際にも重要です。

 

腎臓病の早期発見に一番良い方法は、血液検査ではありません

血液検査に異常値が出る前から、尿量や飲水量の増加体重の減少、といったサインが見られます。 

 

体重測定や排尿を確認など、お家で日常の記録をつけられる方法もありますので、検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

人の慢性腎臓病と関連した皮膚のかゆみに対しては、保湿クリーム・ローションなどの外用剤が使用されますが、

猫の場合は、皮膚の外から潤いを補給することが難しく、飲水量の確保や皮下点滴による脱水の予防が、現実的な対処になります。

猫さんの場合、健康で長生きするためには、いかに上手く"水分補給"できるかが、大きなカギとなります。 

 

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