- AIM30って療法食じゃないから意味ない?
- リンの制限が緩すぎる?
- 買うべきか迷う・・・。
マルカンのキャットフード、AIM30シリーズ。
猫の慢性腎臓病が心配な飼い主さんの間で、非常に話題です。
私は獣医師になって22年。
たくさんの慢性腎臓病の猫と飼い主さんと接してきました。
と同時に、私自身も2017年に19歳だった愛猫を慢性腎臓病で亡くしました。
宮崎徹先生の著書も繰り返し読み、先生の想い・願いを理解していると自負しています。
この記事を読めば、AIM30シリーズが、おうちの猫さんにとって、
おすすめなケース、おすすめしないケース、どちらのタイプか分かると思います。
「なるほどね!」と、納得出来たらご購入を検討してみて下さい。
1.AIM30のキャットフードは意味ないの?
結論としては「意味ない」訳ではありません。
キャットフードとしては、総合栄養食の基準を満たしている、良い商品です。
ただし、期待を100%叶えてくれる訳ではありません。
AIM30キャットフードは、猫の健康維持に適した総合栄養食です。
ただし、療法食ではないので、特定の健康問題を持つ猫には適さないことがあります。
特定の疾患を予防する効果を期待する場合や、医療的な介入が必要な場合には別途専門の療法食が推奨されます。
AIM30の魅力は、そのバランスの良い栄養設計にあります。
猫の健康を支えるために必要なビタミンやミネラル、タンパク質が適切に含まれており、成長期の子猫から老齢の猫まで幅広い年齢層に対応できるようにラインナップも豊富です。
総合栄養食のカテゴリー価格帯で提供されているので、コストパフォーマンスにも優れています。
猫の健康を第一に考える飼い主さんにとって、AIM30は一つの選択肢として検討する価値があると言えます。
ポイント
- 総合栄養食: 猫の健康維持に適した総合栄養食。
- 一般的な健康サポート: ビタミン、ミネラル、タンパク質がバランス良く含まれている。
- 療法食ではない: 特定の健康問題を持つ猫には適さない可能性がある。
- 広い年齢層に対応: 成長期の子猫から老齢の猫まで対応できる豊富なラインナップ。
- コストパフォーマンス: 総合栄養食カテゴリーの価格帯で提供されており、コスパが良い。
2.腎臓病用の療法食じゃないの?
AIM30シリーズのフードは食事療法食ではありません。
ペットフード公正取引協議会の基準では「総合栄養食」というカテゴリーです。
総合栄養食とは、『そのフードと水だけで、必要な栄養素の不足が起こらないバランスの取れたフード』です。
一方、療法食のフードは、『病気の悪化を防ぐために、栄養素の一部を制限したり、バランスに手を加えているフード』です。
食事療法は、始めるタイミングが大切で、症状によって変更することも検討が必要なフードです。
療法食とは?
- 特別に調整されたフード: 腎臓に問題を抱えている猫のために設計。
- 病気の進行を遅らせる: 特定の栄養素が制限されている。
- 重要な栄養素の管理: タンパク質、リン、ナトリウムの摂取量を管理。
個人的には、猫の腎臓病用療法食は、オメガ3脂肪酸が豊富に配合されている👉スペシフィックをお奨めしています。
AIM30は、腎臓病を治したり、悪化を抑えたり、といった治療的効果ではなく、
病気の予防を目的に、総合栄養食を目指したと考えられます。
宮崎徹先生は、著書(猫が30歳まで生きる日)の中でも、
"病気の予防薬"を作り上げたいと、想いを記されています。
3.リンの制限が緩すぎる?
リンの含有量について・・・
健康な猫の場合、リンは、制限すればするほど良いというものではありません。
筋肉や脳、神経組織でエネルギーを作る大切な栄養素です。
血液検査のリンの見方については、👉検査ガイド(リン)をご参照ください
AIM30は、健康・未病状態の猫さんを対象とした商品なので、
リンが制限されていないから意味がない、訳ではありません。
4.AIM製剤が配合されているわけではないから意味ない?
AIM30シリーズのフードには、AIM製剤(お薬)そのものが入っている訳ではありません。
愛猫の健康維持にアプローチするアミノ酸(A-30)が配合されているという表記がされています。
宮崎先生は著書の中でも、「予防薬という概念」について、何度も触れられています。
今の日本の枠組みでは、予防"薬"という概念が無いため、
現状、健康な猫さんに対しては、サプリメント(食品)というカテゴリーでの販売が現実的なのだと思います。
5.過度の期待をさせてしまう危険性
繰り返しになりますが、AIM30シリーズのフードは、食事療法に使用する療法食ではありません。
医薬品でもないため、「健康を"サポート"」という表現になります。
健康食品やサプリメントでは、過度な期待をさせてしまう事を防ぐため、医薬品のような効能・効果は表示していません。
ネコを飼った経験のある方の多くはご存じだと思うが、ほとんどのネコは老齢になると腎臓病にかかり、その多くは長く苦しんだ末に亡くなる。
猫が30歳まで生きる日 ー治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見
宮崎徹著 から引用
近年は「病気は治療から予防、早期発見・早期治療」という意見が強いなと感じます。
1番良いもの、1番効果のある方法、速効性のある方法以外は意味がない・・・という型にはまり過ぎず、
ゆったりと時間をかけて健康のサポートをしてあげたい方向けの製品かなと感じます。
私自身も、2017年に飼い猫を慢性腎臓病で亡くしました。
多少、「ああしてあげればよかったかな」という後悔もありますが、17歳から病気と付き合い始めて、約2年ケアしました。
猫さんの飼い主のみなさんが、これは食べてくれるかな?こっちの方が好きかな?健康に悪くないかな?と、食べ物選びをする
・・・こういう時間が、後々、「良い想い出」になるといいな、と思います。
6.【結論】AIM30シリーズは買うべきなのか?
AIM30、おすすめしないケース
- 既に慢性腎臓病に限らず(尿路疾患など)、食事療法を行っている場合
- 医療的な効果・効能を最大限求めている場合
- 食事の切り替えによって、全く食べなくなる可能性がある場合
- 近々お引っ越しなど、色々なストレスが重なる場合
AIM30、おすすめなケース
- 現時点健康で、興味深く色々なものを食べる猫さん
- 健康的な食事選びに興味があって、いろいろと試してみたい飼い主さん
意味があるか?ないか?
99%の期待に応えてくれても、1%の部分にこだわりがあって「意味ない」と感じる人もいると思います。
一方、なんとなく、今までずっとこれしかあげてなかったけど、
食べ物について考えてみようかな?というきっかけには試しやすいフードだと思います。
おやつ選び、悩みますね…
カロリーや塩分といった数値にこだわると同時に、
"栄養素"という質にこだわるのも良いと思います。
🐈もちまる日記プロデュース健康と美味を両立した【貢-mitugu-】
新鮮な魚系のフードは、オメガ脂肪酸が摂れるので、
日本の猫さんはトクしてるなぁと思います。
🐟鮮魚店丸江商店さんのお魚フード