広告 予後 猫の慢性腎臓病

40猫の慢性腎臓病の予後~病期(ステージ)~

2024年12月20日

 

 

 

猫の慢性腎臓病の予後~病期(ステージ)~

病気の進行度(ステージ)に応じて、適切な治療を行うことで、病気の進行を遅らせることが可能です。

猫の慢性腎臓病は、IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)によるステージ分類で、進行度を判定します。

IRISによる病期(ステージ)分類

IRISは、慢性腎臓病を以下の4つのステージに分類しています。

血液中のクレアチニン濃度やSDMA、尿検査の結果などを基に判断します。

ステージ1:腎臓病の超早期段階

  • 特徴
    • クレアチニン濃度:1.6mg/dL未満(SDMA値が軽度上昇)。
    • 症状:ほぼ無症状。
    • 腎機能の低下がごくわずかで、外見上の異常が見られないことが多い。
  • 治療目標
    • 早期発見に基づき、栄養学的なケアを開始する。
    • 定期的な検査で、状態の変化を見つける。
  • 予後:適切なケアを行えば、長期間良好な状態を維持することが可能。

ステージ2:軽度の腎機能低下

  • 特徴
    • クレアチニン濃度:1.6~2.8mg/dL。
    • 症状:軽度の多飲多尿が見られる場合がある。
    • 病気の進行は緩やかで、臨床症状はほとんどない。
  • 治療目標
    • 食事・栄養学的ケアの見直し(療法食の導入も検討)。
    • リン吸着剤や降圧薬を、必要に応じて使用。
    • 定期的な血液検査で腎機能をモニタリング。
  • 予後:早期にケアを開始すれば、良好なQOLを維持できる可能性が高い。

ステージ3:中等度の腎機能低下

  • 特徴
    • クレアチニン濃度:2.9~5.0mg/dL。
    • 症状:食欲不振、体重減少、嘔吐などの症状が目立ち始める。
    • 腎臓の濾過機能が低下し、血液中に老廃物が蓄積。
  • 治療目標
    • 療法食の使用、栄養学的サポート(食欲不振時は嗜好性の高いフードや食欲増進剤の使用も検討)。
    • 高血圧や高リン血症、脱水症状への対応。
    • 必要に応じて皮下点滴や薬物療法を追加。
  • 予後:治療次第で、年単位の良好な生活が可能だが、病状の変化に注意が必要。

ステージ4:重度の腎機能低下

  • 特徴
    • クレアチニン濃度:5.0mg/dL以上。
    • 症状:重度の嘔吐、食欲不振、脱水、元気消失。
    • 腎臓の機能が著しく低下し、全身状態も悪化。
  • 治療目標
    • 症状を緩和し、生活の質を維持する。
    • 輸液治療や薬物療法を積極的に行う。
    • 合併症(貧血、高血圧)への対応。
  • 予後:進行が早いケースも多い。「集中的な治療」と「緩和ケア」のバランスが求められる。

病期が予後に与える影響

1. ステージ1~2の予後

  • 早期発見が鍵:この段階での発見とケアの開始が、病気の進行を大幅に遅らせ、良好な予後を得るためのポイントです。
  • 生活の質を保てる:適切な栄養管理や、予防的治療により、健康的な生活を維持することが可能です。

2. ステージ3の予後

  • 治療が予後を左右:食事療法や薬物療法、点滴治療が予後に直接影響します。飼い主さんの治療への取り組みも重要です。
  • 定期的なモニタリングが必要:合併症の予防や、早期対応に繋がります。

3. ステージ4の予後

  • 治療の目的が変化:病気の根本治療ではなく、「症状の緩和」や「QOLの向上」が治療の主な目標となります。
  • 短期的な管理が重要:日・週単位の体調管理が中心となり、獣医師と密な連携が求められます。

予後を改善するためにできること

1. 定期的な検査

血液検査や尿検査を定期的に行い、病気の進行や治療効果を確認します。

2. 早期治療の開始

病気が軽度な段階でケアを開始することで、病気の進行を大幅に抑えることが可能です。

3. 栄養学的アプローチ

療法食に限らず、栄養素のバランスを大切に、身体の体重が落ちないフード選びを提案します。

4. 飼い主さんによる経過観察

日常的に猫の体調や行動を観察し、異常があれば早めに対応することが重要です。


まとめ

猫の慢性腎臓病の予後は、病気のステージによって大きく異なります。

早期段階(ステージ1~2)での発見と治療が、愛猫の健康を長期間保つ鍵となります。

ステージ3以降でも適切な治療とケアを行うことで、病気の進行を抑え、生活の質を維持することが可能です。

  

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