猫の慢性腎臓病の予後~治療反応~
猫の慢性腎臓病(CKD)の予後を左右する大きな要因の一つが治療への反応です。
同じ治療を行っても、猫によって効果は異なります。
治療効果を正確に評価し、適切に対応することが重要です。
治療反応とは?
治療反応とは、治療後(中)の「症状の改善度合い」や「検査結果の変化」などで判断します。
慢性腎臓病における治療反応を評価するためには、以下のようなポイントが重要です。
治療反応の評価方法
1. 症状の改善
- 食欲の回復:腎臓病による「食欲不振が改善」している。
- 元気の回復:「活動量」が増え、元気を取り戻している。
- 嘔吐や下痢の減少:「消化器症状」が緩和している。
- 被毛の状態の改善:「毛並み」が整い、光沢が出てきている。
2. 検査結果の変化
定期的な血液検査や尿検査を行い、治療の効果を数値で確認します。
- クレアチニン(CRE)値やSDMA値:治療により「安定」、または「改善」しているか確認。
- リン(P)値:「リン吸着剤」や「療法食」の効果判定。血中リン濃度が低下しているか確認。
- 尿タンパク・クレアチニン比(UPC):「タンパク尿」が減少しているか確認。
- 血圧:「降圧薬」の使用で正常範囲内に収まっているか確認。
3. 体重の変化
慢性腎臓病では体重減少が、ほぼ「必ず生じます」。
治療後に体重が「維持」または「増加」している場合、治療が成功している徴候と言えます。
4. 猫の生活の質(QOL)
治療の目的は病気を抑えるだけでなく、猫が「快適に生活できる状態」を維持することです。
治療によって猫が以前より「リラックス」し、「快適に過ごしているか」を観察します。
治療が効果を発揮しない場合の対応
治療が効果を発揮しない場合、以下のようなアプローチを考えます:
- 猫の好みに合わせた治療:嗜好性の高いフードや薬剤を利用して治療の受け入れやすさを向上。
- セカンドオピニオンの活用:他の獣医師に相談し、別の治療法や選択肢を検討する。
- 緩和ケアへの移行:病気の根治が難しい場合でも、痛みや不快感を軽減するケアを提供する。
まとめ
猫の慢性腎臓病では、治療の効果を定期的に評価しながら調整を続けることが必要です。
病気の進行を抑え、愛猫が「快適な生活を送る時間を延ばす」ことは可能です。
治療が上手くいかない場合でも、別の方法やアプローチを試みることで改善の余地があります。