広告 合併症 猫の慢性腎臓病

63猫の慢性腎臓病の合併症~胃腸障害~

2024年12月20日

 

 

 

猫の慢性腎臓病の合併症~胃腸障害~

猫の慢性腎臓病(CKD)による胃腸障害はよく見られる合併症の一つです。

腎臓病が進行するにつれて、胃腸の働きが低下し、嘔吐や下痢、食欲不振といった症状が現れます。

胃腸障害は猫の生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼし、病気の進行を加速させる要因となります。


胃腸障害が発生する原因

1. 尿毒素の蓄積

腎臓の機能低下によって、老廃物(尿素など)が血液中に蓄積します。

尿毒素は胃腸の粘膜をボロボロにして、胃潰瘍の状態になります。

2. 胃酸の過剰分泌

尿毒素が胃酸の分泌を刺激し、胃粘膜が荒れることで嘔吐や食欲不振を引き起こします。

3. 粘膜の損傷

腎臓病では粘膜の「修復力が低下」し、胃や腸の壁が脆弱になるため、炎症や潰瘍が発生しやすくなります。

4. 腸内細菌バランスの乱れ

腎臓病に伴う代謝異常が「腸内環境に影響」を及ぼし、下痢や血便の症状を引き起こします。


胃腸障害の症状

慢性腎臓病に伴う胃腸障害は、次のような症状として現れます:

1. 嘔吐

  • 食後すぐに吐く。(胃が食べ物を受け付けない)
  • 泡状の液体や胆汁、未消化の食べ物を吐く。(消化不良)

2. 食欲不振

  • ご飯を残す、または全く食べなくなる。(受け付けない)
  • 嗜好性の高い食べ物でも興味を示さない。(悪心。気持ち悪い)

3. 便秘(慢性腎臓病による脱水も要因の一つ)

  • 排便の回数が減る。硬い小さな便。
  • 排便時に痛がる様子を見せる。

4. 口臭や口内炎

  • 口を痛がる。前足でしきりに口を気にする。
  • 口臭、血液混じりの唾液。

食べられないことによる栄養素不足は、体力の消耗、免疫力の低下につながります。


胃腸障害の治療方法

胃腸障害の治療は、原因に応じて以下の方法が取られます:

1. 制吐剤の投与

嘔吐を抑えるために、マロピタント(セレニア)などの制吐剤が使用されます。

2. 胃酸抑制剤の使用

胃粘膜を保護し、胃酸の分泌を抑えるために、H2ブロッカー(ガスター:ファモチジン)などが処方されます。

3. 食事療法

栄養素、消化に考慮された食べ物によって、胃腸に優しい食事を与えることで症状を緩和します。

4. 水分補給

皮下点滴や静脈点滴を行い、脱水症状を改善し、血液の循環をサポートします。


胃腸障害の予防策

胃腸障害を防ぐためには、以下のような日常的なケアが重要です:

1. 腎臓病の進行を抑える

早期に腎臓病を発見し、適切な治療を行うことで尿毒素の蓄積を防ぎます。

2. 食事の工夫

栄養素、消化に考慮された食べ物を与えます。食べ残しがある場合は、嗜好性の高いウェットフードも試してみましょう。

3. 水分補給の促進

十分な水分を摂取させることで、尿毒素を体外に排出しやすくします。

4. 胃腸の健康をサポートするサプリメント

獣医師の指導のもと、プロバイオティクスやプレバイオティクスを取り入れることで腸内環境を整えます。


まとめ

猫の慢性腎臓病に伴う胃腸障害は、猫の体力を奪い、病気の進行を加速させます。

適切な治療と予防を行うことで、症状を緩和し、愛猫の生活の質を向上させることが可能です。

 

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