猫の慢性腎臓病の症状~口内炎~
猫の慢性腎臓病(CKD)は、全身にさまざまな影響を及ぼします。
その中で「口内炎」は、慢性腎臓病の症状の一つで、食欲や生活の質に大きな影響を与えることがあります。
猫の口内炎とは?
口内炎は、口の中の粘膜に炎症が起こり、痛みや腫れを伴う状態を指します。
慢性腎臓病では、この口内炎が頻繁に見られる症状の一つです。
口の中に痛みを感じるため、猫が食事を摂るのを嫌がり、さらなる健康問題を引き起こします。
慢性腎臓病による口内炎の原因
1. 体内の毒素蓄積
慢性腎臓病では腎機能が低下し、尿毒素が血液中に蓄積し、唾液中にも含まれるようになります。
口の中の細菌と反応し、粘膜を刺激して炎症を引き起こします。
2. 免疫力の低下
腎臓病に伴う栄養不足や体力の低下により、猫の免疫力が低下します。
これが原因で、口内の細菌やウイルスが増殖し、口内炎が悪化することがあります。
3. 脱水の影響
腎臓病に伴う脱水症状により、口腔内が乾燥しやすくなります。
唾液が減少することで口の中の環境が悪化して、炎症が起こりやすくなります。
4. 食欲不振による影響
腎臓病の猫は食欲不振に陥りやすく、食事を摂らないことで口腔内がさらに荒れるという悪循環に陥ることがあります。
口内炎の症状とサイン
猫の口内炎は以下のような症状として現れることが多いです。
- 食べ物を避ける
猫がフードを食べたがらない、匂いを嗅ぐだけで食べない。 - 口元を気にする
食事中に口をかばう仕草や、頻繁に口元を舐める。 - 口臭が強くなる
アンモニア臭を伴う口臭が現れることが多い。 - よだれを垂らす
口内の痛みや炎症により、よだれを垂らすことが増える。 - 口内の赤みや潰瘍
見える範囲で歯茎や舌が赤くなっていたり、潰瘍ができている場合があります。
口内炎を放置するとどうなる?
口内炎を放置すると、以下のような問題が発生する可能性があります。
1. 栄養不足
口内炎の痛みで食事を摂れなくなると、体重が減少し、栄養不足に陥ります。
腎臓病の進行を加速させる原因にもなります。
2. 全身への影響
炎症が慢性化すると、口の中の細菌が血液中に侵入し、全身性の感染症(敗血症)を引き起こすリスクがあります。
3. 痛みとストレス
痛みが続くことで猫にストレスがかかり、生活の質が大きく低下します。
口内炎を予防するためのポイント
慢性腎臓病の猫で口内炎を予防するためには、日常的なケアが重要です。
- 定期的な健康診断
年1~2回の血液検査や尿検査で腎臓の状態を把握し、早期の対応を心がける。 - 全身麻酔が可能であれば、歯石除去など
慢性腎臓病の初期であれば、今後の歯周病による影響を未然に回避するために、全身麻酔下での口腔内ケアを行う場合があります。
まとめ
口内炎は猫の慢性腎臓病に伴う症状の一つです。
痛みや食欲不振を引き起こすため、早期の発見と適切なケアが必要です。
日常的に猫の口元や食事の様子を観察し、すぐに対応することで、愛猫の生活の質を維持し、病気の進行を抑えることができます。