猫の慢性腎臓病の症状~多飲多尿~
猫の慢性腎臓病(CKD)の「初期症状」として最もよく見られるのが「多飲多尿」です。
猫が飲む水の量や、トイレの様子に異変(尿量の増加)を感じたら、腎臓病のサインである可能性があります。
多飲多尿とは?
多飲とは、猫が通常よりも「大量の水を飲む」ことを指します。
多尿とは、尿の量が増える状態を指します。
※どちらも、1回の量は普通で、回数が増える事もあります。
これらの症状はセットで現れることが多く、飼い主さんが日常の生活の中で「気づきやすいサイン」の一つです。
メモ
体重4kgの猫であれば1日200~240mlが目安
多飲多尿が起こる仕組み
腎臓は、血液をろ過して老廃物をおしっこで排泄する役割があります。
慢性腎臓病では、この機能が低下します。
- 尿を濃縮(濃く)する能力の低下
腎臓は通常、体に必要な栄養素などを再吸収し、「尿を濃縮して排泄」します。
腎機能が低下すると、水分を十分に再吸収できなくなり、「尿が薄く大量に排泄」されます。
- 体内の水分不足(脱水)
尿が増えることで、「体内の水分が不足」し、猫さんは「喉が渇き」ます。
「大量の水を飲む」ようになるので、多飲と多尿が連鎖的に生じます。
他の病気との関連
多飲多尿は慢性腎臓病以外の病気でも見られる症状です。
以下のような病気との区別が必要になります。
- 糖尿病
血糖値が高くなることで「尿の量が増加」し、多飲多尿が引き起こされます。
⇒猫のおしっこ簡易検査キット(糖・pH・潜血などがわかる)
- 甲状腺機能亢進症
過剰な甲状腺ホルモンの影響で、「水分摂取量」と「排尿量」が増えます。
⇒【検査ガイド】 ~甲状腺のホルモン検査~
- 尿崩症
尿の濃縮を調整するホルモンの異常によって大量の薄い尿が排泄されます。
血液検査や尿検査などによって、「区別する」必要があります。
「多飲多尿」を、見てみぬふりをすると・・・
多飲多尿は、慢性腎臓病の「初期段階から生じる」ことが多いです。
見てみぬふりをすると・・・次のような問題が発生します。
- 脱水症状の悪化
尿の増加に伴って「身体の水分が不足」し、さらなる「腎臓への負担」を引き起こします。
- 老廃物の蓄積
腎臓が正常に働かないため、体内に毒素が蓄積し、「尿毒症が進行」します。
- 全身症状の悪化
「嘔吐」や「食欲不振」、「体重減少」など、全身に影響を及ぼす症状が現れます。
早期発見と治療が、病気の進行を遅らせるための鍵となります。
多飲多尿に気づいたら何をすべき?
愛猫の多飲多尿に気づいた場合、次のような行動を取りましょう。
1. 観察と記録
- 「水を飲む量」や「トイレの回数」を、記録する。
- 猫の行動や食欲、「体重の変化」も、合わせて記録しておく。
⇒自動的に記録できる「スマートトイレの活用」もお奨めです。
2. 動物病院での診察
- 「血液検査」や「尿検査」を行い、腎臓の状態を確認します。
- 必要に応じて、「超音波検査」や「ホルモン測定」などの、追加検査が行われることもあります。
3. 早期治療の開始
- 慢性腎臓病と診断された場合、「適切な治療」を受けることで、「進行を遅らせる」ことが可能です。
まとめ
多飲多尿は、猫の慢性腎臓病の「初期段階から現れる重要なサイン」です。
動物病院で適切な診断と治療を受けることで、「病気の進行を遅らせ」たり、「生活の質を保つ」ことが可能です。
飲水量やトイレの変化、猫さんの健康に気を配ってあげて下さい。