猫の慢性腎臓病の症状~脱水~
猫の慢性腎臓病(CKD)は、さまざまな症状を引き起こします。
その中でも「脱水」は、腎臓病の進行に伴って頻繁に見られる症状で、深刻な影響を及ぼします。
脱水は単なる水分不足ではなく、体内の「水分バランスの乱れ」が原因です。
脱水とは?
脱水とは、身体が「正常に機能するために必要な水分量」を維持できない状態です。
猫の慢性腎臓病では、尿の排出量が増える(多尿)ことで、脱水が引き起こされます。
この状態が続くと、体全体の機能が低下し、命に関わる場合もあります。
慢性腎臓病が引き起こす脱水の原因
1. 尿の濃縮能力の低下
健康な腎臓は、「体内の水分と、尿の量を調節する」機能を持っています。
腎機能が低下すると、大量の薄い尿が排出されるため、体内の水分が不足します。
2. 食欲不振や嘔吐の影響
慢性腎臓病では、嘔吐や食欲不振がよく見られるため、摂取する水分量が減少します。
このような状況が、「脱水をさらに悪化」させます。
3. 電解質のバランス異常
腎臓病が進行すると、体内のナトリウム(Na)やカリウム(K)などの電解質バランスが乱れます。
水分の「吸収や維持」が難しくなることもあります。
脱水の症状
猫の脱水症状は、飼い主さんが日常的に観察できるサインとして現れます。
- 皮膚の弾力性の低下
猫の首の後ろの皮膚を軽くつまんで離した際に、元に戻るのが遅い場合、脱水が疑われます。 - 口の中の乾燥
健康な猫の口の中は湿っていますが、脱水が進行すると乾燥し、粘膜が粘っこくなることがあります。 - 元気や活動量の低下
脱水状態では体力が低下し、猫がぐったりして動きたがらない場合があります。 - 食欲不振
脱水により体が弱ることで、食べ物に興味を示さなくなることがあります。 - 頻繁な嘔吐や下痢
これらの症状が脱水の原因の場合もあります。
脱水を放置するとどうなる?
脱水状態が続くと、以下のような深刻な問題が発生する可能性があります。
1. 血液の循環障害
体内の水分不足により血液が濃縮され、循環が悪化します。(ドロドロ血)
これが腎臓を含む全身の臓器に、さらなる負担をかけます。
2. 老廃物の蓄積
腎臓の機能が低下し、毒素が体内に蓄積することで、尿毒症を引き起こすリスクが高まります。
3. 致命的な合併症
脱水が重度になると、ショック状態(血液の循環不全)に陥る可能性があります。
特に高齢猫では、命に関わる緊急事態となることがあります。
まとめ
脱水は猫の慢性腎臓病でよく見られる症状です。
放置すると病気を悪化させるだけでなく、命に関わる場合もあります。
早期に気づき、適切に対処することで、愛猫の生活の質を向上させ、病気の進行を抑えることができます。