猫の慢性腎臓病の治療~血圧管理~
猫の慢性腎臓病(CKD)で特に注意が必要なのが高血圧です。
慢性腎臓病と高血圧は密接な関係があります。
高血圧が腎機能をさらに悪化させるだけでなく、他の臓器にも深刻なダメージを与えます。
なぜ血圧管理が重要?
1. 高血圧が腎臓に与える影響
高血圧は、腎臓の細かい血管に負担をかけ、腎機能を悪化させます。
腎臓病の進行が加速します。
2. 他の臓器への悪影響
高血圧は、腎臓以外の臓器にも影響を与えます:
- 目:網膜剥離や失明。
- 心臓:心肥大や心不全。
- 脳:脳神経や血管障害。
猫の高血圧の基準
猫の正常な収縮期(上の)血圧は120~150mmHg程度です。
以下の基準が参考になります:
- 160~179mmHg:軽度の高血圧。臓器への影響が現れる可能性あり。
- 180mmHg以上:重度の高血圧。腎臓や他の臓器に深刻なダメージを与える可能性が高い。
血圧管理の方法
1. 血圧測定
慢性腎臓病の猫では、定期的な血圧測定が必要です。
動物病院での測定のほか、家庭用の血圧計も販売されています。
2. 降圧薬の使用
猫の高血圧管理には、以下のような降圧薬が使用されます:
- アムロジピン
- 主に血管を拡張し、全身の血圧を下げる効果があります。
- 高血圧の猫に最も一般的に処方される薬剤です。
- ベナゼプリル(フォルテコール)
- レニン・アンジオテンシン系を抑制し、腎臓の血流を改善する効果があります。
- 尿タンパクの減少にも役立つため、腎臓の保護に適しています。
- テルミサルタン(セミントラ)
- 高血圧を抑えるだけでなく、腎臓の炎症や酸化ストレスを軽減する作用があります。
3. 療法食の活用
ナトリウムが制限された腎臓病用療法食は、高血圧の管理に役立ちます。
ただし、猫の高血圧とナトリウムの関係については、未解明な部分もあります。
4. 生活環境の改善
猫は、ストレスによって、血圧が上昇しやすい動物です。
静かで快適な環境が、ストレスを最小限に抑えることにつながります。
まとめ
血圧管理は、猫の慢性腎臓病治療において重要な役割を果たします。
高血圧は腎臓病を悪化させるだけでなく、全身の臓器に深刻な影響を及ぼします。