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猫の慢性腎臓病の治療
猫の慢性腎臓病(CKD)は、高齢猫に多く見られる、完治が難しい病気です。
しかし、適切な治療を行うことで病気の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を向上させることは可能です。
治療には、いくつかのアプローチがあり、症状の緩和や腎臓への負担を減らすことを目指します。
慢性腎臓病の治療の基本方針
慢性腎臓病の治療は、以下の3つを基本としています:
- 腎臓への負担を軽減する
腎機能を維持し、余分な負担をかけない治療。 - 合併症の管理
高血圧や脱水症など、腎臓病に伴う合併症を治療します。 - 生活の質の向上
猫が快適に生活できる状態を維持します。
主な治療方法
1. 食事療法
腎臓病の管理において、重要な治療法の一つが「食事療法」です。
腎臓への負担を軽減するために設計されています。
- 低タンパク:老廃物の生成を抑える。
- 低リン:腎臓へのダメージを軽減。
- 高エネルギー:少量で十分な栄養を摂取可能。
療法食への移行は猫の好みによって難しい場合もあります。
時間をかけて少しずつ慣らすことが大切です。
2. 薬物療法
慢性腎臓病の進行を抑えるために、さまざまな薬が使用されます。
- 腎臓の血流を改善する。
- 高血圧をコントロールする。
- 吐き気や食欲不振を緩和する。
使用する薬剤は、猫の症状や病状に応じて選択します。
3. 皮下点滴(輸液治療)
皮下点滴は、慢性腎臓病の猫で一般的に行われる治療法で、体内の「水分」を補います。
多尿や脱水が進んだ猫では、水分を補給することで腎臓の負担を軽減し、毒素の排出を助けます。
家庭で行える場合もあり、通院の負担を減らすことができます。
4. 電解質調整
腎臓は体液のバランス(電解質)を調整する役割を持っています。
慢性腎臓病ではその機能が低下します。
- カリウム補充:低カリウム血症を改善し、筋力や食欲を回復。
- カルシウム調整:高リン血症と関連する異常を緩和。
5. リン吸着剤
腎臓病が進行すると血中のリン濃度が上昇し、腎臓に負担をかけます。
療法食と組み合わせてリン吸着剤を使用して、腎臓を保護します。
6. 抗酸化療法
慢性腎臓病では、酸化ストレス(※身体が錆びると表現されます)が、腎臓の損傷を進行させます。
抗酸化作用を持つ薬やサプリメント(栄養素)を使用することで、腎臓の健康をサポートします。
7. 血圧管理
慢性腎臓病の猫では高血圧が見られ、腎臓や他の臓器(目や心臓)にダメージを与えることがあります。
高血圧がある場合、降圧剤を使用して、病気の進行を遅らせます。
8. 経過観察
慢性腎臓病は進行性の病気であるため、定期的な検査が治療の鍵となります。
- 血液検査:BUN、クレアチニン、SDMAなどの腎機能指標。
- 尿検査:尿比重やタンパク尿の有無。
- 体重や食欲:生活の質を維持するための指標。
多面的な治療の重要性
慢性腎臓病の治療は、1つの方法だけで完結するものではありません。
食事療法や薬物療法、皮下点滴などを組み合わせることで、腎臓への負担を最小限に抑え、症状をコントロールします。
猫の体調や、病気の進行に応じて、治療内容を「柔軟に調整」することが重要です。
まとめ
猫の慢性腎臓病は、適切な治療を行うことで病気の進行を遅らせ、生活の質を向上させることが可能です。
食事療法、薬物療法、皮下点滴を中心に、様々な角度からのアプローチで治療を進めることが重要です。
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