広告 合併症 猫の慢性腎臓病

60猫の慢性腎臓病の合併症~電解質異常~

2024年12月20日

 

 

 

 

猫の慢性腎臓病の合併症~電解質異常~

猫の慢性腎臓病(CKD)では、腎臓の機能低下により、体内の電解質バランスが崩れます。

電解質は体内の水分調整や神経の働き、筋肉の収縮などに重要な役割を果たしいます。


電解質異常とは?

電解質とは、体内で電気を持つ粒子(イオン)で、主に以下のような成分です

  • ナトリウム(Na⁺)
  • カリウム(K⁺)
  • カルシウム(Ca²⁺)
  • リン(P)

腎臓はこれらの電解質の濃度を調整する役割を担っています。

腎機能が低下すると調整ができなくなり、バランスが崩れてしまいます。


主な電解質異常とその影響

1. 低カリウム血症(カリウム不足)

カリウムは筋肉や神経の正常な働きに必要な成分です。

腎臓病では尿の排泄量が増えて、カリウムが過剰に失われ、低カリウム血症を引き起こします。

  • 症状
    • 筋力低下や後ろ足のふらつき。
    • 食欲不振。
    • 元気消失。
    • 心臓の不整脈(重症の場合)。
  • 対策
    • カリウムサプリメント(液体、粉末など)。

2. 高リン血症(リン過剰)

腎臓がリンを十分に排泄できなくなると、血中のリン濃度が上昇し、高リン血症を引き起こします。

これは腎臓にさらなる負担をかけるだけでなく、骨粗しょう症の原因にもなります。

  • 症状
    • 骨折。
    • 食欲不振。
    • 筋肉・神経の震え。
    • 嘔吐や元気消失。
  • 対策
    • リン吸着剤の使用。
    • 低リンの療法食への切り替え。

3. 低または高カルシウム血症

リン濃度の上昇はカルシウムとのバランスに影響を与えます。

低カルシウム血症や、高カルシウム血症を引き起こすことがあります。

  • 症状
    • 低カルシウム血症:筋肉のけいれんや神経症状。
    • 高カルシウム血症:脱水や食欲不振、嘔吐。
  • 対策
    • カルシウムサプリメントや、静脈点滴による補充(低カルシウム血症の場合)。
    • カルシウム値を下げる薬(高カルシウム血症の場合)。

4. ナトリウム異常

ナトリウムの不足や過剰も、腎臓病では見られることがあります。

過剰なナトリウムは高血圧の原因となり、不足すると脱水や低血圧を引き起こします。

  • 症状
    • 脱水。
    • 無気力。
    • ふらつき。
  • 対策
    • 適切な塩分量の療法食を与える。
    • 点滴によって電解質補正を行う。

電解質異常の診断方法

  1. 血液検査: 電解質の濃度を直接測定します。カリウム、リン、カルシウム、ナトリウムのバランスを確認します。
  2. 体調の観察: 筋力の低下や元気消失、嘔吐などの症状があれば、電解質異常を疑います。

まとめ

猫の慢性腎臓病に伴う電解質異常は、気づかないうちに猫の健康を大きく損なう可能性があります。

日々の観察や、定期的な健康診断を通じて早期に異常を発見し、適切な治療や予防策を講じることが重要です。

 

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