猫の慢性腎臓病の症状~被毛粗剛(ひもうそごう)~
猫の慢性腎臓病(CKD)は、全身にさまざまな影響を与えます。
「被毛粗剛(ひもうそごう)」は、外見的に目立つ症状の一つです。
健康な猫の被毛は柔らかくて光沢がありますが、慢性腎臓病の猫では毛がぱさつき、毛艶が失われます。
被毛粗剛とは?
被毛粗剛とは、猫の毛がぱさつき、硬く感じられる状態を指します。
慢性腎臓病の猫では、毛艶が失われ、毛がまとまりにくくなることがあります。
脱水(皮膚の乾燥)により、フケが多くなったり、毛球ができたりすることが多いです。
慢性腎臓病で被毛粗剛が起こる原因
被毛粗剛の背後には、慢性腎臓病による体内の変化が関与しています。主な原因は以下の通りです。
1. 栄養不足
慢性腎臓病が進行すると、被毛の健康を維持するための栄養素(特にタンパク質や脂肪酸)が不足します。
被毛が弱くなり、パサつきや毛づやの低下につながります。
2. 脱水
慢性腎臓病では多尿による脱水が起こりやすく、被毛や皮膚に十分な水分が行き渡らなくなります。
その結果、皮膚や被毛が乾燥し、硬くなります。
3. 体調不良による毛づくろいの減少
腎臓病の猫は体調が悪いため、毛づくろい(グルーミング)をする余裕がなくなります。
毛づくろいが減ると、被毛の汚れや皮脂が溜まり、毛がごわついて見えるようになります。
4. 体内毒素の蓄積
腎臓が老廃物を十分に排出できなくなると、体内に毒素が蓄積し、皮膚や被毛の健康に悪影響を及ぼします。
これにより、被毛の質が劣化することがあります。
5. ホルモンバランスの乱れ
慢性腎臓病ではホルモンバランスが崩れることがあります。
この乱れが皮膚や被毛の状態に影響を与えることがあります。
被毛粗剛のサイン
被毛粗剛は、飼い主が日常的に観察できる症状です。以下のようなサインが見られたら注意しましょう。
- 毛がぱさついて艶がない
- 毛が絡まりやすく、全体的にぼさぼさした印象になる
- 毛が抜けやすく、体に抜け毛が目立つ
- 毛を触ると硬い、またはごわごわしている
- 毛づくろいをする頻度が減っている
- 皮膚が乾燥し、フケが増えている
被毛粗剛を放置するとどうなる?
被毛粗剛は外見的な変化だけでなく、猫の健康や生活の質に影響を与える可能性があります。
1. 皮膚トラブルのリスク
毛づくろいが減り、毛が絡まった状態を放置すると、皮膚の通気性が悪くなり、炎症や感染症が起こることがあります。
2. ストレスの増加
猫は本能的に身だしなみを整える習性がありますが、毛づくろいができない状態が続くとストレスを感じやすくなります。
被毛粗剛が見られた場合の対処法
被毛粗剛が慢性腎臓病の猫に現れた場合、次のような対策を講じることで改善を目指しましょう。
1. 動物病院での診察
被毛粗剛が見られたら、まずは動物病院で診察を受けましょう。
血液検査や尿検査を通じて、身体の状態を確認し、必要な治療を受けます。
2. 栄養バランスの改善
身体の状態にあったフードを導入することで、被毛の健康を維持するための栄養を補給できます。
特に、皮膚や被毛の健康に必要な、「脂肪酸(オメガ3など)」が含まれるフードをお奨めすることが多いです。
3. 水分補給
脱水を防ぐため、猫が十分に水分を摂れるように工夫します。
自動給水器やスープタイプのフードを活用するのがおすすめです。
4. 被毛のお手入れ
毛づくろいが減っている場合は、飼い主がブラッシングを行い、被毛を清潔に保ちます。
抜け毛や絡まりを取り除くことで、皮膚の健康もサポートできます。
5. ストレスの軽減
猫がリラックスして過ごせる環境を整え、ストレスを最小限に抑えることで、全身の健康状態を向上させることが期待できます。
まとめ
被毛粗剛は、慢性腎臓病に限らず、全身の「健康状態の異常」を示す重要なサインです。
日常的に猫の被毛や皮膚の状態を観察し、異常が見られた場合は早めに対処することで、愛猫の生活の質を向上させることができます。