猫の慢性腎臓病の予防~定期的な健診~
猫の慢性腎臓病(CKD)は、初期段階では症状がほとんど現れないため、早期発見が非常に難しい病気です。
慢性腎臓病を予防し、病気の進行を遅らせるためには、定期的な健診が大切です。
なぜ定期的な健診が必要なのか?
1. 慢性腎臓病の早期発見
慢性腎臓病は、腎機能が「70~75%以上失われる」まで、目立った症状が現れません。
定期的な健診で、症状が出る前に腎機能の異常を発見できると、早期対応が可能になります。
2. 病気の進行を遅らせる
初期段階で慢性腎臓病を発見できれば、栄養学的なケアやお薬の投与などで、病気の進行を遅らせることが可能です。
3. 他の病気の早期発見
腎臓病に限らず、猫の身体を総合的にチェックすることで、糖尿病や高血圧など、腎臓病リスクとなる病気を早期発見し、対処することができます。
腎臓の検診で行われる主な検査
定期的な腎臓病の検診では、以下のような検査を行います。
1. 血液検査
- クレアチニン(CRE):腎臓のろ過機能を評価する指標。数値が高い場合、腎機能が低下している可能性があります。
- SDMA:腎臓病の早期発見に役立つ指標で、クレアチニンよりも敏感に腎機能の低下を検出します。
- 尿素窒素(BUN):血液中に老廃物が溜まっているかを評価します。
2. 尿検査
- 尿比重:腎臓の尿濃縮能力を確認。腎機能が低下している場合、尿比重が低下します。
- 尿タンパク:腎臓のフィルター機能に異常がある場合、尿中にタンパクが漏れ出します。
- 尿沈渣検査:尿中の細胞や結晶を調べ、感染症や結石などの有無を確認します。
3. 超音波検査
腎臓の形状やサイズ、内部構造を観察し、腎臓の萎縮や腫瘍、結石の有無を確認します。
4. 血圧測定
高血圧は慢性腎臓病のリスクを高めるため、血圧を測定することも重要です。
健診を受ける頻度
年齢による頻度の目安
- 1~6歳の健康な猫:1年に1回の健診を推奨。
- 7歳以上の高齢猫:半年に1回の健診が理想ですが、通院ストレスなどを考慮することも大切です。
飼い主がお家でできること
体重測定や、飲水量・尿量の記録、食事量のチェックなどは、病院での健診と同じくらい大事な「健診」です。
日常的に猫の行動や体調の変化を観察・記録して、気になる点は、健診時に獣医師に伝えるようにしてください。
まとめ
動物病院での定期的な健診は、猫の慢性腎臓病を予防・早期発見する効果的な方法の一つです。
お家でのチェックも病院での健診と同じくらい大事な「健診」です。
健診結果で「よくわからない」点があった場合は、獣医師・動物病院スタッフに相談するようにしてください。
聞きづらい、なかなか理解しづらい・・・といった場合は、
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