猫の慢性腎臓病の診断~UPC~
猫の慢性腎臓病(CKD)の検査の1つ、UPC(尿タンパク・クレアチニン比)は重要な指標の一つです。
UPC検査は、尿中のタンパク質の量を測定し、腎臓に不具合が生じていないか調べるために行われます。
UPC(尿タンパク・クレアチニン比)とは?
UPCは、尿中のタンパク質量をクレアチニン量で割った値です。
尿中のクレアチニンは、濃縮具合に影響を受けにくい指標です。
クレアチニンと、タンパク質量を比較測定することで、「尿の中にタンパクが過剰に排出されているか」判断します。
正常なUPC値の範囲
- 0.1未満:正常範囲。タンパク尿は検出されません。
- 0.1~0.4:グレーゾーン。追加検査や経過観察が必要です。
- 0.4以上:異常値。タンパク尿が認められ、腎疾患の可能性が高いです。
なぜUPCが重要なのか?
1. タンパク尿は腎臓のダメージを示す
腎臓は、必要なタンパク質を再吸収する働きを持っています。
腎臓がダメージを受けると、この再吸収機能が低下し、尿中にタンパク質が漏れ出します。
タンパク尿は腎臓病の進行を示す重要なサインです。
2. 病気の進行度を評価できる
慢性腎臓病では、UPC値が高いほど腎臓のダメージが大きいことを示唆します。
UPC値を定期的に測定することで、病気の進行状況や治療効果を評価することが可能です。
※ただし、猫の慢性腎臓病では、末期的な状態になっても、タンパク尿が見られないことが多いです。
3. 他の腎疾患の区別に役立つ
UPC検査は、慢性腎臓病だけでなく、「糸球体疾患」や「腎炎」、腎臓への「高血圧性のダメージ」の診断にも役立ちます。
UPC検査の限界と注意点
1. 脱水や感染症の影響
脱水や尿路感染症がある場合、UPC値が一時的に上昇することがあります。
検査結果は猫の全体的な健康状態と併せて評価する必要があります。
2. 単一の検査結果に頼らない
腎臓の機能全体を把握するには血液検査や超音波検査など、「他の検査との組み合わせ」が重要です。
3. 継続的なモニタリングが必要
UPC値が正常範囲でも、腎臓病が完全に否定されるわけではありません。
特に猫の慢性腎臓病では、末期的な状態になっても、タンパク尿が見られないことが多いです。
まとめ
UPCは、猫の慢性腎臓病の診断や、進行度の評価において重要な検査です。
尿中のタンパク質量を測定することで、治療の効果をモニタリングすることも可能です。