広告 不妊手術

当院の猫の不妊(避妊・去勢)手術について

2020年8月14日

はじめに

2024年で、獣医師になってから22年が経ちました。

これまで20,000頭以上の猫の避妊去勢手術を担当しました。

不妊手術は病気の子の手術ではありません。

特別な技術・能力を使った手術ではなく、基本に忠実に、切る・結ぶ・縫うという"地味"な手術です。

 

猫の不妊手術とは?

オス・メス問わず、生殖器を摘出して、繁殖能力を失わせる手術を「不妊手術と言います」

 

避妊手術

メスの不妊手術を避妊手術といいます。

  • 卵巣のみを摘出する方法(卵巣摘出術)と
  • 卵巣と子宮を一括で摘出する方法(子宮卵巣摘出術)があります。

 

どちらも手術の方法として間違っていません。

獣医師の慣れている方法で行われています。

当院では、子宮と卵巣両方を摘出する方法(子宮卵巣摘出術)で行っています。

 

去勢手術

オスの不妊手術を去勢手術といいます。

  • 縫合糸で結紮・縫合する方法と、
  • 縫合糸などは使わずに切開創を癒合させる方法があります。

当院では、後者の縫合糸を使わない方法で行っています。

 

手術の時期はいつごろが良いですか?

オス、メスともに体重が2kgくらいになった頃から、不妊手術の計画(準備)を始めて下さい。

生後の月齢では生後5か月くらいの時期となります。

 

発情中でも手術は可能ですか?

 

なるべく発情真っ最中の避妊手術は避けて頂きます。
 
発情兆候が落ち着いて、1週間から10日後経つと、子宮の状況も少し落ち着きます。

 

ただ、猫の発情は、光(蛍光灯も含む)を浴びている時間の長さと、

過ごしている環境の温度で誘発されると言われています。

 

外で暮らしている猫は、そういったサイクルが周期的ですが、

人の環境(室内)で暮らしている猫は、発情の周期も不規則で、

すぐに再発情する事も多いです。

 

 

高齢猫でも手術できますか?

色々な事情で若い年齢で不妊手術を受けなかった子もいます。

比較的高齢になってからでも、不妊手術を行う事は可能です。

 

ただ、身体への負担は、若齢での手術に比べ、子宮・卵巣の形態変化もありますので、

麻酔のリスクが多少大きくなる事が予想されます。

  • 切開創(傷口)が大きくなる
  • 麻酔時間が長くなる
  • 麻酔の覚醒・体力回復に時間がかかる
  • 麻酔薬による肝臓や腎臓への負担が大きくなる・・・など。

 

早期不妊手術とは何ですか?

海外では、生後3か月前後での早期不妊手術を積極的に行っている地域があります。

  • 切開創が小さく
  • 縫合に時間がかからないためトータルの手術時間が短くなります
  • 麻酔からの覚醒が早く回復が早い傾向があります
  • 手術を行う側に多少慣れが必要です。

 

手術前に準備しておくことはありますか?

病院への移動や全身麻酔は、猫にとって負担・ストレスとなります。

病気を治す手術ではないので、急ぐ必要はありません。

 

お家の環境に慣れておく

例えば、「3日前から飼い始めた猫を明日手術」とか、「来週譲渡する猫を今週中に手術」など…

猫にとっての環境の変化が、目まぐるしく変わる状況下での手術はおすすめできません。

飼い猫さんであれば、まずはその家の環境に慣れてから、が基本です。

 

予防プログラム(ワクチンなど)を終わらせておく

不妊手術と同時にワクチン接種も可能ですが、

身体に色々な負担(負荷)を一度にかけるのは、

可能な限り避けましょう。

 

術後衣・エリザベスカラーの用意は必要ですか?

手術後はストッキネットという伸縮包帯を着せて傷を保護します。

術後衣・エリザベスカラーをご用意して頂く必要はありません。

 

手術のながれ(予約~入院~手術~退院)

オス・メスいずれの場合でも、

手術は日帰り(午前中入院⇒お昼時間に手術⇒夕方退院)で行います

 

ご予約

手術当日と、次の日に一日様子が見れるように、予定を空けて下さい。

ご希望の手術日を、お電話またはLINE https://lin.ee/obgrNfn でご連絡ください。

休診日を確認して頂き、なるべく休診日の前日の不妊手術は避けていただくようにお願いしています。

 

入院

当日、ご予約のお時間に来院ください。

初診の場合は、カルテ作成を含め、問診・診察を行います。

 

手術

お昼時間、診察を休止して手術の時間にあてています。

 

退院

夕方16:00以降の退院でお願いしています。

料金の精算も退院時にお願いしています。

※当日の手術件数によって、17:00以降のお迎えをお願いする場合もあります。

 

 

帰宅後(当日~翌日くらいまで)注意することは?

退院・帰宅時は、歩様がふらつくような事もなく、

一見完全に覚醒したようにも見えますが、

微妙な距離感や、平衡(バランス)感覚のズレが生じています。

 

キャットタワーなど、高い場所からの落下などの事故に気をつけていただいてます。

 

運動の制限(観察)

ケージに入れておかなくてはいけない訳ではありませんが、

目の届くところで一緒に生活して下さい。

 

不安な場合の連絡先

当院のLINEアカウント https://lin.ee/obgrNfn へご連絡ください。

LINEが使えない・返信がない場合は、ひがし東京夜間救急動物医療センター(03-5858-9969) へ、ご連絡ください。

 

投薬・消毒・抜糸は?

手術後、縫合部位の消毒や抗生物質の投薬は必要ありません。

 

皮膚を縫った紫色の糸は、抜糸の不要な吸収糸ですので、

そのままにして頂いて構いません。

 

不妊手術の安全性(危険性)について

不妊手術による事故は極めてまれですが、全くゼロではありません。

当院で開院以来、10,000件以上の手術・麻酔下の処置を行っています。

猫の不妊手術で(手術自体が原因ではない処置前の例も含め)6例、死亡事例を経験しています。

 

麻酔はどのようなものを使いますか?

ミダゾラムとメデトミジンで催眠・鎮静処置の後、イソフルランという吸入麻酔薬で維持します。

 

手術費用について

手術の費用は、診察費・麻酔前検査・不妊手術代の総額で、

オス猫が22,000円(消費税込み)

メス猫が33,000円(消費税込み)

となります。

 

保護猫さん、里親会を通して家族になった猫さん、

まったく触れない捕獲機での依頼の猫さんには、

それぞれ料金設定がありますので、お尋ねくださいませ。 

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