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【保存版】猫の飼い主さんの不妊(避妊・去勢)手術に対する疑問や不安を解消

2023年8月18日

 

  • 猫は「不妊手術を受けさせた方が良い」ってみんな言ってるけど、実際どうなの?
  • 手術が原因で死んでしまったという話も聞くので不安
  • 費用が高い病院、安い病院、何が違うの?

 

猫さんを飼い始めて、ワクチンなどの予防処置が一通り終わると、

獣医さんから「不妊手術はいつにしましょうか?」と聞かれる事が多いと思います。

 

  • まだ生後半年も経ってないのに
  • そもそも不妊手術って義務なの?
  • 費用がどれくらいかかるか気になる

 

と考えているうちに発情が始まってしまい、

「発情中でも手術できますか?」というお問い合わせを頂くことに…。

 

キャンちゃん
キャンちゃん

皮下脂肪、内臓脂肪が付いてくると、手術時間や切開範囲が2倍違う事もあるらしいよ💦

 

パスくん
パスくん

発情中は血管が太く発達してるさかい、えらい気ぃ使う事になるんやで

 

猫さんにとっても、執刀する獣医師にとっても、初回発情前での不妊手術は、負担が少ないです。

当院では、体重2kgあたりでの不妊手術をお奨めしています。

 

私の勤務先は、開業前まで、獣医師スタッフの少ない小規模の病院だったため、2002年の大学卒業後、早い時期から不妊手術の執刀経験をさせて頂きました。

その後、気付けば20年間で20,000頭以上の手術を担当しました。

 

不妊手術は病気の子の手術ではありません。

特別な技術・能力、神の手は必要ありません。

基本に忠実に、切る・結ぶ・縫うという“地味”な手術です。

 

猫さんにとっては、『一生に一回の手術だから安全に丁寧に』をモットーに日々仕事をしています。

 

この記事では、不妊手術前の猫の飼い主さんの不安や疑問を解消できるよう、まとめて解説致します。

 

診察室で聞き忘れたことなどの確認ができるので、参考にして下さい。

》当院での不妊手術の流れを確認

 

【不安】費用について

 

費用だけで動物病院を比較するのは、あまりお奨めしませんが、

費用に関する事は、とても重要です。

 

手術費用に術前検査費用は含むのか、

入院する場合には、その費用はどれくらいか、

退院後の投薬や、抜糸などの処置が必要であれば、費用がどれくらいかかるか

事前に確認しておく方が賢明です。

 

🐾費用はいくらぐらいですか? 猫の不妊手術費用の相場は?
日本獣医師会が令和3年に調査した診療料金実態調査というものがあります。

 

オス猫の去勢手術は1~3万円

メス猫の避妊手術は2~4万円

平均的な相場と言えます。

 

手術費用に限らず、動物病院で請求される金額には、

保険点数といった概念が無い自由診療なので、動物病院によって価格差があります。

当院の猫の不妊手術料金

  

 

🐾保険は効きますか?
原則、不妊手術に対してペット保険のお支払いは原則ありません。

 

ペット保険の取り扱い会社は、ここ数年で急増しています。

全ての保険商品を把握している訳ではありませんが、

不妊手術やワクチン接種などの予防的処置にかかる費用は、

保険の支払いはありません

犬の保険・猫の保険なら初回ケガ全額補償【e-ペット50・70】

 

不妊手術してある子の場合に、

保険料が割引になるというケースはあると思います。

詳しくは、保険会社のお問い合わせ窓口にご相談ください。

 

ペット保険資料の一括見積サイトの利用もご検討ください。 

 

🐾トラブルがあった場合、保険が効きますか?
不妊手術後の傷口の癒合不良、麻酔トラブルによる入院・継続的な治療など、
 
手術が引き金になって起きた病気については、各保険会社がケースバイケースで判断します。

 

不妊手術に、ペット保険は支払われませんが、

不妊手術が原因で生じた病気などについては、

各保険会社が判断することになります。

 

動物病院側も、他院からの転院症例の場合、

そのつど、「契約保険会社さんにお問い合わせください」

お願いしています。

 

保険契約前に、そういった相談が可能な、

店舗型の『保険の窓口』で、ペット保険を取り扱っている場合があります。

ペット保険はネット通販型がほとんどなので、

店舗で対面相談できるのは、安心かと思います。

 

 

🐾自治体による補助金について
不妊手術に対する助成金制度が、多くの自治体で採用されています。

 

飼い猫も対象、外猫のみ対象など、自治体によってルールが様々です。

自治体の担当者様にお尋ねください。

 

ぜんこく 犬猫助成金 リストというまとめサイトもあります。

ぜんこく 犬猫助成金 リスト

ご活用ください。

 

🐾格安の病院があるのはなぜですか?
外ネコ、野良猫によるトラブル、近年では多頭飼育崩壊などは、
 
不妊手術によって防げるからです。

 

自治体の助成金も、そういった公共の福祉を念頭に置いた施策です。

動物病院で働くスタッフも同様に、

不妊手術の金銭的なハードルを低くすることによって、

こういったトラブルの予防・解決に役立ちたいと考えています。

 

🐾格安の病院の違いは何ですか?
格安の料金設定で不妊手術を行うために、安全面を保ちながら、
 
様々な工夫によってコストを下げています。

 

私自身も開業前に、"格安設定"の動物病院で働いていた経験があります。

何件かの施設の見学も行った正直な印象としては…

超格安…の病院の中には、

安かろう悪かろうと感じた病院もありました。

 

ただ、ほとんどの病院は、

飼い猫さんと全く同じ方法で料金だけ別設定

という動物病院でした。

 

【疑問】手術を受ける最適な時期は?

 

🐾手術を受ける最適な時期はいつですか?
当院ではオス、メスともに体重が2kgを目安にしています。
 
生後の月齢では生後5か月くらいの時期となります。

 

多くのネット上の情報では、不妊手術を生後6か月以上でお奨めしていますが、

生後6か月では、すでに初回発情が起きている場合がほとんどです。

 

室内で生活している猫は、発情のサイクルが不規則で不安定です。

生活環境の温度(室温)や、光にあたっている時間が一定で、

"季節"という概念が当てはまらないからです。

 
病気を治す手術ではないので、あまり急かしたくはないのですが、

不妊手術はなるべく早めに行っていただきたいと考えます。 

 

遅くなればなるほど、

  • 発情期を迎えてしまう
  • 皮下脂肪・内臓脂肪によって、視野確保のため大きな切開が必要
  • 麻酔時間が長くなる=回復に時間がかかる

猫にとってメリットがありません。

 

🐾何歳まで手術は受けられますか?
高齢になってからでも、不妊手術を行う事は可能です。

 

ただ、若齢での手術に比べ、子宮・卵巣の形態変化もあります。

麻酔のリスクが多少大きくなる事が予想されます。

 

具体的には…

  • 切開創(傷口)が大きくなる
  • 麻酔時間が長くなる
  • 麻酔の覚醒・体力回復に時間がかかる
  • 麻酔薬による肝臓や腎臓への負担が大きくなる・・・など。

 

🐾発情期でも手術は受けられますか?
なるべく、発情真っ最中の避妊手術は避けて頂いてます。

 

卵巣の形態が変化して、子宮や血管が太くなります。

安全のため視野を広げますので、傷口も大きくなります。

 

ただ、室内飼いの猫は、発情サイクルが不安定で、

発情が治まりきらないうちに、再発情を繰り返します。

そういった場合には、比較的落ち着いた時期を見計らって、

避妊手術を行うようにしています。

 

🐾多頭飼い(兄弟など)の場合手術は別日に分ける方が良いですか?
いずれにしましても、当日~翌日は一緒にいれるように、予定を組んでください。

  

病院への行き帰り(とくに帰り)のキャリーバッグ(ケース)は、1頭ずつ別々にして頂いてます。

 

【疑問】流れについて

🐾一般的な手術の流れが知りたい
当院では、午前中10:30頃に連れて来ていただき(お預かり・入院)、

お昼時間に手術、

夕方16:00〜18:30にお迎えに来ていただく(退院)、

という日帰りの手術になります。

 

病院によって、手術の流れは様々ですので、

お願いする動物病院へご確認ください。

 

🐾病院によって日帰りと入院と違うのはなぜですか?
動物医療には、"決まっていないこと"が多いんです。

 

たとえば、 

  • 不妊手術を日帰りで行うか、入院させるか
  • 手術前の絶食は何時からか
  • 手術後の抗生物質はどうするか
  • ガーゼを使用するか?縫合創の消毒はどうするか?
  • オスの去勢手術の傷は縫うか?縫わないか?

 

"保険診療"という概念がない(=自由診療)事が理由です。

大まかな共通認識はありますが、

それぞれの獣医師の判断を尊重している世界、という面でもあります。

 

🐾抜糸は必要ですか?
当院では、皮膚の縫合に吸収糸を使用していますので、抜糸は不要です。

 

1~3週間ほど、縫合糸が残っていますが、そのままにしていただいて構いません。 

 

   

【不安・疑問】傷口について

 

 

🐾傷口の消毒、抗生物質の投与は必要ですか?
いずれも、通常は必要ありません。

 

抗菌薬(抗生物質)の予防的投与について、有効である根拠が乏しく、

薬剤耐性菌の発生を助長するため、推奨されません。

愛玩動物における抗菌薬の慎重使用の手引き 2020

 

🐾傷口の大きさが違うのはなぜですか?
安全のため、視野を広げるため、切開創が大きくなる場合があります。

 

 

発情中や、皮下脂肪・内臓脂肪が多い場合、

切開を大きく広げる必要があります。

  

🐾傷口を舐めないようにするには?
当院では手術後、ストッキネットという伸縮包帯を着せて傷を保護します。

 

手術終了後、麻酔が覚めるまでの間に、着せてあげます。

ストッキネットの上から舐めるのは構いません。

 

 

【不安・疑問】痛みについて

 

🐾傷口の痛みはどれくらい続きますか?鎮痛剤は必要ですか?
手術後の痛みを抑えるため、手術前から先制鎮痛を行います。

 

痛みの感覚は、雪だるま式に増幅すると考えられています。

増幅してしまった痛みには、鎮痛剤が効きづらいので、

手術前から痛みを起こさせない"先制鎮痛を行う"という考え方が一般的です。

 

呼吸が早い、ずっと鳴き叫んでいる、落ち着かず動き回っているなど、

耐えがたい苦痛を感じている場合には鎮痛剤をもちろん使いますが、

そこまでの痛みが生じるケースは比較的稀です。

 

呼吸数の増加は痛みのサイン

 

痛みを感じているかどうかの判断材料の一つが、呼吸数です。

痛みや苦痛を感じていると、呼吸が早く・浅くなります

 

【不安】手術後の後悔について

 

🐾手術をした後悔
不妊手術をしなければよかったという後悔・・・。

 

想定してた結果(目的)が得られなかった場合や、

違う病気が発症した場合に生じます。

 

  • 手術で亡くなってしまった
  • 麻酔などの影響で後遺症が生じた
  • 手術をしたのに発情が起きた
  • 傷の治りが悪く、治癒までに時間がかかった
  • 肥満になり、数年後、病気を発症した。

 

🐾手術をしなかった後悔
手術をしなかった後悔は、防げたトラブルが起きた場合に生じます。

 

  • 発情のたびに大声で(人間が)眠れない
  • 発情のストレスが見るに堪えない
  • マンションの隣人からのクレーム
  • 家から脱走・外出による事故
  • 予定外の妊娠、飼育困難

 

猫さん本人への影響、飼い主さんへの負担、

両面が考えられます。

 

🐾手術後のトラブルについて
手術自体には問題なくても、こんなはずじゃなかったんだけどな…
という問題が起きる場合もあります。

 

  • ショック?ビクビクするようになった
  • 食欲が増えた
  • マーキング(スプレー行動)が治らない

 

🐾不妊手術、受けさせない方が良い飼い主さん
避妊去勢手術は、全ての猫に対する法的な義務ではありません。

 

飼い主さんとしての責務を果たせるのであれば

しないという選択も間違いではないと考えます。

 

避妊去勢手術は、猫さんがお家に来て、日が浅い時期に検討する事になるので、

獣医師としては、「早く!早く!」と、あまり急かす形にしたくありませんが、

情報の収集は、なるべく早めに行ってほしいと感じています。

 

【疑問】手術後の変化について

🐾手術後の肥満について
繁殖行動に必要なエネルギーが不要になります。

 

基礎代謝が約20%落ちると言われます。

そのため、不妊手術後は太りやすくなります。

ホルモンのバランスが崩れるから、という理由ではありません。

 

不妊手術後のフード選びについては、

》【猫編】避妊・去勢手術後用のフードはいつから?どんなものがいいの?~獣医師執筆~

で解説しています。

 

🐾不妊手術と寿命の関係
『寿命が雄で62%,雌で39%延長する』との情報。

2020年に「動物臨床医学」という雑誌に発表されたものとして、

引用元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/29/4/29_133/_pdf

猫は避妊去勢手術によって、寿命が雄で62%,雌で39%延長するとの記載があります。

 

ただ、寿命の差異については、不妊手術の有無以外の要素が多岐にわたりますので、

データの判断は慎重に行う必要があります。

  

【補足】病気の予防、犬と猫の違いについて

不妊手術のメリットとして、病気の予防効果がよく挙げられます。

ただ、犬でのデータと、猫でのデータが混同されているケースがよく見られます。

 

🐾乳腺腫瘍の発生率
犬では、初回発情前の手術で発生率を0.5%に抑えられる
猫では、乳腺腫瘍は99%が未避妊猫で発生する。

避妊手術をしていない雌犬では4頭に1頭の割合で乳腺腫瘍が発生しますが、

初回発情前に避妊手術を受けると、発生率は0.5%(200頭に1頭)と非常に低くなります。

犬の乳腺腫瘍は、半分が良性、半分が悪性の乳がんです。

 

猫の乳腺腫瘍は、10万頭につき約25頭の割合(0.025%)で発生します。

99%が未避妊猫で発生し、ほとんどが悪性の乳がんです。

生後6か月未満で避妊手術をした猫は、発生率が91%低下します。

 

🐾精巣腫瘍について
犬・猫ともに、通常の去勢手術では左右2つの精巣を摘出しますので、
去勢手術後に精巣腫瘍になることはありません。

停留精巣という病気の場合、精巣腫瘍となる可能性が高いため、予防を兼ねて去勢手術を行います。

未去勢の犬の場合、停留精巣でなくても精巣の腫瘍になる場合がありますが、

未去勢の猫での精巣腫瘍の発生は非常に稀です。

 

🐾前立腺疾患(前立腺肥大など)について
犬では、程度の差はありますが、未去勢の場合、前立腺の肥大が生じます。
猫では、前立腺肥大の発生は非常に稀です

 

前立腺肥大、前立腺膿瘍、前立腺腫瘍という3つの前立腺疾患が、未去勢犬では頻発します。

猫では、これらの病気の発生はかなり稀です。

 

🐾子宮疾患について
犬でも猫でも、子宮蓄膿症の発症を予防できます。

 

卵巣子宮摘出術であれば、子宮蓄膿症の発生は起こりません。

卵巣のみの摘出であっても、子宮蓄膿症の予防は可能という意見が多数派です。

"生理"がある犬の方が、猫よりも発生しやすい傾向があります。

 

猫では、子宮に膿が溜まる子宮蓄膿症よりも、

無菌性の水が溜まる子宮水腫の発生頻度が高い傾向があります。

 

》卵巣摘出と卵巣子宮摘出術の違いについてはこちら

 

🐾卵巣疾患について
卵巣腫瘍、卵巣嚢腫、といった病気が、未避妊の場合に発生します。

 

猫の卵巣がんは、犬に比べると稀です。

卵巣嚢腫は、猫で潜在的に多く、5歳以上で発情期のサイクルが不安定な猫でよく見られます。 

 

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