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猫の慢性腎臓病 ~ステージによるフードの使い分け~

2021年6月7日

ポイント

ステージ別、症状別、猫用腎臓病療法食の使い分けをまとめました。

慢性腎臓病と診断されていない場合

慢性腎臓病と言われていませんが、7歳になって、食事に気を付けるとしたら、何がお奨めですか?

クレアチニンSDMAなど、血液検査で異常がない場合は、まずは老齢のサインをチェックしましょう

 

老齢のサイン

  • 高いところに上らなくなった
     
  • 痩せてきた。体重が落ちてきた。
     
  • 毛づくろいをする時間が減った。
     
  • あまり遊ばなくなった
     
  • 便が硬くなった
     
  • 水をたくさん飲む/尿の量も増えた
     

 

老齢のサインがない場合は、シニア用のフードに少しずつ切り替えるのがお奨めです。

ロイヤルカナン FHN エイジング 12+ 

 

サイエンスダイエットPRO(プロ) 健康ガード 腎臓・心臓 7歳〜

 

老齢のサインがある場合は、早期腎臓サポート系のフードを推奨します。

↑ネット販売はありません。(動物病院対面の処方食)

 

"お試し"には、ヒルズの早期アシストがおすすめ。

猫用 k/d 腎臓ケア 早期アシスト ドライ

 

ステージⅠ(クレアチニン <1.6mg /dL、SDMA <18μg /dL)の場合

クレアチニンSDMAの検査は複数回行い、基準値内であっても、持続的に上昇がある場合にはステージⅠと判断します。

 

BUNの上昇がないか? 尿比重の低下がないか?確認

BUNの上昇、尿比重の低下がない場合は、クレアチニン値が2.0mg /dLまでであれば、早期サポート系のフードを利用します。

猫用 k/d 腎臓ケア 早期アシスト ドライ

 

ドライフードが主体の猫さんの場合、今後、水分摂取量が足りなくなる可能性も出てきます。

ウエットフードの比率を高くしたり、"食べる点滴"とも言われる、ゲルタイプの脱水ケアはお奨めです!

ベッツセレクション 脱水ケア ゲル

 

お歳をとっていくと、フードの容器は少し高めにしてあげると、上下運動が楽になり、首の負担が和らぎます。

猫壱 ハッピーダイニング 脚付ウォーターボウル

 

猫壱のハイタイプ、フードボウルは倒れづらく、ウォーターボウルは目盛り付きで飲水量を把握できます。

今後、腎臓病が進行した場合、飲水量が多くなりますが、そのサインに早く気付くことができます。

 

~重要!~ 飲水量の確保

 

ステージⅡ(クレアチニン 1.6-2.8 mg/dL、SDMA 18-25 μg/dL)の場合

猫の腎臓病の食事療法は、ステージⅡから推奨されています。

  • 体重の変化
     
  • 多飲・多尿
     
  • 脱水
     
  • 便秘 
     

これらの有無、一般状態を注意して観察してあげてください。
 

ステージⅡから、一般的な腎臓病療法食は推奨されます。

👇療法食を一覧にしたページがありますので、ご覧ください。

こちらも確認!

 




スペシフックFKD



腎臓サポート



腎臓サポート スペシャル



腎臓サポートセレクション


k/d 早期アシスト


k/d 腎臓ケア



ベッツセレクション 腎ケア



ベッツソリューション



Dr's キドニーケア



キドニーケアプラス 可溶性繊維


和漢・みらいのキャットフード低たんぱく
リン含有量0.09g/100kcal0.078g/100kcal0.115g/100kcal0.100g/100kcal0.127g/100kcal0.110g/100kcal (チキン)
0.108g/100kcal (ツナ)
0.5%以上0.30%(乾物%)0.35%(チキン)
0.36%(フィッシュ)
0.37%0.25%
タンパク質含有量5.5g/100kcal
22.9%(計算値)
5.875g/100kcal
23.0%(計算値)
6.625g/100kcal
26.0%(計算値)
5.975g/100kcal
24.6%(計算値)
7.7g/100kcal
32.3%(計算値)
6.7g/100kcal (チキン)
28.3%(計算値)
6.9g/100kcal (ツナ)
28.3%(計算値)
27.0%以上22.0%以上24.2%24.7%27.5%
カロリー416kcal/100g
100kcal=24.04g
392kcal/100g
100kcal=25.51g
392kcal/100g
100kcal=25.51g
411kcal/100g
100kcal=24.33g
420kcal/100g
100kcal=23.81g
422kcal/100g (チキン)
100kcal=23.70g
410kcal/100g (ツナ)
100kcal=24.39g
370kcal/100g以上392kcal/100g426kcal/100g(チキン)
423kcal/100g(フィッシュ)
399kcal/100g356kcal/100g
原産国デンマークフランスフランスフランスアメリカ合衆国オランダ日本イタリア日本日本日本
主要タンパク源トウモロコシ蛋白、ジャガイモ蛋白、動物蛋白加水分解物超高消化性小麦タンパク、超高消化性大豆タンパク、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)超高消化性豚タンパク、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、超高消化性小麦タンパク超高消化性豚タンパク、超高消化性小麦タンパク、加水分解タンパク(鶏、七面鳥)、魚肉チキンチキン、ターキー、エンドウマメ蛋白、全卵、米蛋白、(ツナ)米粉、ビーフミール、チキンミール、卵黄粉末乾燥鶏肉、乾燥豆、乾燥魚、ジャガイモタンパク濃縮物、ミートミール、おから、全卵粉末、フィッシュミール、チキンレバーパウダーミートミール、おから、ポテトプロテイン、チキンレバーパウダー生肉(鹿,馬,魚)、国産雑節、豚肉粉
強化配合物1EPA&DHA(オメガ3脂肪酸)高消化性のタンパク質高消化性のタンパク質高消化性のタンパク質必須アミノ酸(筋肉量の維持)必須アミノ酸(筋肉量の維持)活性炭(ヘルスカーボン®)配合緑茶ポリフェノール(抗酸化、抗炎症)EPA&DHA(オメガ3脂肪酸)サイリウム、フラクトオリゴ糖(可溶性食物繊維)和漢(日本や中国由来の植物、食材を使用した食事による健康ケア)
強化配合物2カリウムの含量を増加独自の猫が好む香りと、粒の形(食欲の維持のため)独自の猫が好む香りと、粒の形(食欲の維持のため)独自の猫が好む香りと、粒の形(食欲の維持のため)オメガ3脂肪酸(腎血流量をサポート)オメガ3脂肪酸(腎血流量をサポート)スーパーオキシドジスムターゼ(抗酸化物質)フラクトオリゴ糖(可溶性食物繊維)ビタミンE,C、セレン酵母(抗酸化成分)公式サイトで調べる
強化配合物3L-カルニチン、タウリンを補充(心筋の機能維持)L-カルニチン(脂肪利用、筋肉量の維持)L-カルニチン(脂肪利用、筋肉量の維持)キシロオリゴ糖(腸内微生物を刺激)EPA&DHA(オメガ3脂肪酸)
パッケージ400g,2kg500g,2kg,4kg500g,2kg,4kg500g,2kg500g,2kg500g,2kg,4kg(チキン)
500g,2kg(ツナ)
400g,
1.5kg(300g×5)
400g,1.5kg480g(120g×4),
1.5kg
480g(120g×4),
1.5kg
800g
1日の給与量
(体重3kg,標準体型)
38g43g43g41g46g45g(チキン)、47g(ツナ)約60g35g53g56g54g
Amazonで調べるAmazonで検索Amazonで検索Amazonで検索Amazonで検索Amazonで検索Amazonで検索Amazonで検索Amazonで検索Amazonで検索Amazonで検索公式サイトで調べる
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猫用腎臓ケアフード(ドライ)比較表

 

ステージⅢ (クレアチニン 2.9-5.0 mg/dL、SDMA 26-38 μg/dL)の場合

ステージⅢになると、

  • 嘔吐
     
  • 食欲不振
     
  • ずっと、だるそうに寝ている
     

といった徴候が増えていきます。

 

体重の変化には特に注意してあげてください。

体重は○○kgが良いという基準ではなくて、

変化を確認します。

 

ペット用体重計

 

 

ヘマトクリット値(Ht, PCV)リン(P, PHOS)の数値もチェック

血液検査を定期的に行う場合、BUNやクレアチニンSDMAのほか、貧血の有無(ヘマトクリット値)や、リンの数値もチェックしてもらいましょう。

 

猫の慢性腎臓病★リン(P)も見てますか?

 

腎性貧血

腎臓では、"エリスロポエチン"という血液を作る素が作られます。

腎臓の機能が落ちると、貧血が起きることが多々あります。

 

猫はほかの動物に比べ貧血に強いので、

よほど貧血が進行しない限り、

フラフラになって倒れるという事はありませんが、

逆に言えば、貧血の症状が出た場合には、

かなり重度な場合がほとんどです。

 

貧血の改善・予防のために、

鉄剤や、ビタミンB群の補給を行うこともあります。

 

【新発売】〜鉄補給サプリ〜 テツメイト

 

テツメイト 犬猫用

 

 

高リン血症

本来、尿に捨てられるはずのリンが、血液の中に溜まっている状態です。 

リンとカルシウムは、体の中反応しあうので、骨のカルシウムが溶け出してしまったり、血管を傷め血栓の原因となります。

血中リン濃度の基準値上限は、概ね7-8 mg/dLですが、慢性腎臓病を患っている猫の場合では、5.0mg/dL以下だと安心です。

リンは食事中の"うま味"成分なので、リンが制限してある療法食を食べない場合は、リンの吸着剤を通常フードに混ぜて、なるべく体内に吸収させない工夫も行います。

 

レンジアレン 犬猫用

 

カリナール コンボ 犬猫用

 

吸着剤についてもっと知りたい

 

ステージⅣ (クレアチニン >5.0 mg/dL、SDMA >38 μg/dL)の場合

ポイント

ステージⅣの慢性腎臓病の猫さんの食事療法には、"答え"がありません。

学術的に"良い事"が、必ずしも猫さんにとって良い事ではない事が多々あります。

このステージになると、

食事療法の目的が変わってくるかもしれません。

  • 体重を維持する事
     
  • 食欲を維持する事
     
  • 美味しそうに食事を摂る
     

 

飼い主さんによって、何を重視するかによって、提案する方法が変わります。 

3つすべて満たせることは、なかなか難しいかもしれません。 

食べない療法食より食べる塩焼…という選択もあり

 

美味しそうに食事を摂ることが最優先であれば、療法食ではなく、若いころから大好きだったものを食べられる分だけあげる、という方法も正解です。

体重を維持することが最重要であれば、スープ食・流動食をシリンジで与える、"介助給餌"という方法もあるかと思います。

 

食欲を維持して自分で食べる事が最重要であれば、ミルタザピンやステロイドなど、薬を使う事も間違った方法ではありません。

 

それぞれのお家で重要にしていることが違うので、SNSなどで、他の方がされている事や使っているものが違っていても、比較する必要は全くありません。

「ヨソはヨソ。ウチはウチ」と、考えましょう。

 

どうしても心配になったら、かかりつけの獣医師・動物病院も相談に乗ってくれるはずです。

 

補足要素

甲状腺機能亢進症を併発している、タンパク尿がある、慢性心疾患をもっている、尿結石がある・・・など、実際にはステージ分類だけでは説明できない要素が加わります。

療法食選びには、かかりつけの動物病院スタッフとの関りも大切にしてください。

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